研究課題
プルキンエ細胞に対する平行線維と登上線維によるシナプス回路発達の過程は、回路発達研究に最も適したモデル系のひとつである。平行線維シナプスに選択的なグルタミン酸受容体δ2の遺伝子ノックアウトマウスの解析から、この分子が平行線維シナプス側の強化分子として機能し、その欠失により平行線維終末とプルキンエ細胞スパインの間のシナプス結合率が低下しフリースパインが生じることを見い出した(Kurihara et al.,1997,J.Neurosci.17:9613-9623:下図参照)。今回、平行線維支配の弱まった環境において、もう一つの入力線維である登上線維支配がどのように変化していることを神経トレーサー標識、蛍光多重染色、電顕解析法などを用いて解析した。その結果、遠位樹状突起に出現したフリースパインを目がけて、登上線維支配の遠位拡大が生じ、これが周囲のプルキンエ細胞に及ぶことにより登上線維による多重支配が生じた(Hahimoto et al.,2001;J.Neurosci.21:9701-9712;Ichikawa et al.,2002,J.Neurosci.22:8487-8503)。これらの事実は、プルキンエ細胞のシナプス回路が異種入力線維間の競合を基盤として樹状突起に対するドメイン的支配が確立し、ここでδ2が平行線維シナプス側の強化分子機構として機能していることを示している。同時に、登上線維側にも強化分子機構が存在し、δ2と拮抗する形で平行線維支配の過度な近位化(拡大化)を防いでいる可能性をも示唆する。その拮抗分子機構が、P/Q型カルシウムチャネルがその役割を担っていることも明らかすることができた(Miyazaki et al.,2004,J.Neurosci.24:1734-1743)。
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