研究分担者 |
大橋 俊朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30270812)
松本 健郎 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30209639)
羽根 一博 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50164893)
坂元 尚哉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20361115)
|
研究概要 |
力学的刺激を受けた血管内皮細胞が形態変化を起こす過程を明らかにするため,アクチンフィラメントと細胞膜上で連結している蛋白であるインテグリンに注目し,新しいテクニックを導入することによって流れおよび張力の刺激を与えた際のインテグリンの動きを観察解析し,その役割を明らかにすることを目的とする。 1.張力負荷刺激による細胞骨格およびインテグリンの応答解析 ウシ大動脈由来内皮細胞をシリコーン膜上に播種し, GFP-アクチン,RFP-FATのベクターを細胞内に導入して引張負荷実験を行った。ひずみ10%,1Hzでシリコーン膜を繰り返し伸張したところ,細胞自体は膜の伸びと直交する方向に配向し,アクチンフィラメント,FATも同様の配向を示した。これにより,シリコーン膜上で細胞の動的挙動を直接観察することが可能であることが示された。また,シリコーン膜上に不均一なひずみ場を形成したところ,同一細胞内でもひずみの大きい箇所でアクチンフィラメントの発達がみられ,かつ核の位置が高ひずみ側に偏っていることが観察された。 2.流れ負荷刺激時の細胞骨格およびインテグリンの応答解析 培養内皮細胞に流れによるせん断応力を負荷して,アクチンフィラメントが再配列し,同時にインテグリンの配置も変化する現象を詳細に観察した。昨年度の報告のように,インテグリンのスライド運動,伸張,出現・消失も明瞭に観察された。これらの結果から,流れの負荷に対して内皮細胞は,(1)デンスペリフェラルバンドの移動あるいは消失,(2)インテグリンの移動,出現・消失,(3)葉状仮足の形成,(4)インテグリンの回転と細胞の伸張(5)ストレスファイバの形成,の過程を経て形態変化を起こしていることが推察された。
|