研究課題/領域番号 |
14208103
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高谷 節雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40154786)
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研究分担者 |
荒井 裕国 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 教授 (50202718)
中村 真人 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90301803)
坂本 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10101875)
大内 克洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (20322084)
岩崎 泰彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90280990)
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キーワード | 全置換型人工心臓(TAH) / 補助人工心臓(VAD) / 解剖学的適合性 / 磁気軸受け / CFD数値解析 / ナノ表面修飾 / 抗血栓性 / オーダーメード人工心臓 |
研究概要 |
拍動流及び無拍動流人工心臓の性能向上を目標に、下記の項目について基礎研究を進めた。 1)解剖学的適合性:人工心臓を埋め込む位置と姿勢を、手術中に医用画像を用いて定量的に誘導、決定することを目的として、3次元位置センサを用いて人工心臓の位置、姿勢をリアルタイムに計測するシステムの試作を行った。仔牛を用い、TAH.VADの埋め込み実験において当システムの性能の評価を行っている。 2)磁気軸受:遠心血液ポンプの軸受として、永久磁石による磁気軸受と流体軸受のハイブリッドによるエネルギーを消費しない小型軸受を提案し、それぞれの機構によるインペラの回転安定性に関して計測及び評価を行った。 3)CFD数値解析:ポンプ内の流れの解析法として、Computational Fluid Dynamics(CFD)の応用が進められている。本方式は、実験では実現不可能な部位等における流れの3次元解析が可能であることより、血液ポンプの設計の前評価方法として注目を集めている。遠心ポンプの羽根形状によるせん断応力やポンプ内における滞在時間の分布から赤血球の破壊との関係を数値解析し、流れの可視化実験や溶血実験結果と比較検討を行っている。 4)耐久性:アクチュエーターを支えるベアリングヘの衝撃を軽減し、デバイスの耐久性を延長させることを目的に、駆動制御装置に用いているモーターのスピード制御方法の改善を行った。従来の矩形波制御信号に代わる方法として、収縮初期、収縮期から拡張期への移行期に指数関数波を用い、また、拡張末期にブレーキ機能を導入することで、モーターへのスパイク電流を軽減し、ベアリングヘの衝撃を抑えることができた。生体内環境を模擬した循環回路(37度Cのお湯)にVADを沈め、実験を行ったところ、3ヶ月半の連続運転が可能であった。現在、支持部のベアリングの改善、アクチュェーター部の設計の改善を行い、更なる耐久性の向上を検討中である。 5)ナノ表面修飾:血液接触面の抗血栓性を向上させることを目的に、ナノ構造を有するポリマーのコーティングを行った。使用したポリマーは、生体の細胞膜を模倣したリン脂質を有する親水性ポリマーで、抗血栓性に優れている。下記に記す慢性実験の結果より、血液接触面においては、血栓形成は認めなかった。コントロール群との比較を検討中である。 6)慢性動物実験:左心心尖部脱血一下行大動脈送血VAB動物の長期生存を目標に、60、70Kgの2頭の仔牛において、研究を進めた。結果、17、18日のInVivo連続運転が得られた。血液接触面には、血栓形成は認めなかった。術後管理法について改善を要する。
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