研究課題/領域番号 |
14209005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70174810)
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研究分担者 |
松田 彊 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30002075)
酒井 徹朗 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (10101247)
門松 昌彦 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60158847)
古賀 信也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (20215213)
濱本 なお 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助手 (70273498)
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キーワード | 木造建造物文化財 / 修理用資材 / 大径長尺材 / 文化財修理用備林 / 檜皮剥皮実験 / 大学演習林 / オーセンティシティ |
研究概要 |
現在、修理用資材の不足によってあるべき文化財の修理が困難になっており、文化財建造物の価値を最も理解する修理技術者を始めとする国民がその修理の将来に不安を抱いている。これらの状況は、これまで極めて慎重かつ学術的に行われてきた文化財修理事業の姿勢を崩壊させることにもつながり、文化財保護制度の根幹を揺るがす事態である。本研究の展開によって修理用資材の安定供給のための基礎的な要件を明らかにする。 本研究は文化庁と大学演習林を母体とした研究組織によって1)修理用資材の需要解析、2)フィールド分布調査、3)檜皮剥皮実験、4)文化財用備林設定、5)民有林補償制度検討の5つのグループに分かれて、それぞれ連携を採りつつ研究を実施した。 本年度は、1)文化財修理用資材の需要解析;主要な木造建造物文化財に使用されている資材について樹種、規格、品質について文献調査を実施した。2)フィールド分布調査;環境省のデータベースから全国の森林における大径木の分布に関する情報を収集した。3)檜皮剥皮実験;24本のヒノキ伐倒木について詳細な成長量調査と材質面での評価を行った。また、光学顕微鏡をもちいて細胞レベルでの成長を評価した。その結果、現時点では剥皮行為によるヒノキへの影響は認められなかった。さらに、剥皮による影響を観察するために新たに強度の傷つけ行為を別の樹木に施し、その影響を見ることにした。4)文化財用備林の設定;大学演習林を対象に7箇所の備林を選定し、林分の状況について情報を収集した。このうち、千葉の備林では間伐を実施して、素材の評価について調査を行った。5)民有林所有者および文化財所有者を対象とした補償制度;公有林所有者を対象としたアンケート調査及び聞き取り調査を実施した。文化財関係者を集めたシンポジウムを開催し、文化財側と森林側のそれぞれの立場から使用する木材の質の問題について検討を加えた。
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