研究課題/領域番号 |
14209006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 毅彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90237941)
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研究分担者 |
岩崎 敬 (株)岩崎敬環境計画事務所, 主任研究員
村上 陽一郎 国際基督教大学, 文学部, 教授 (40012504)
公文 俊平 国際大学, グローバルコミュニケーションセンター, センター長(研究職) (80012318)
林 春男 京都大学, 防災研究所, 教授 (20164949)
笹井 宏益 国立教育政策研究所, 生涯学習研究部社会教育研究室, 統括研究官 (10271701)
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キーワード | 安全 / 持続 / 都市 / 主体性 / 健康 / リスク / 学習 / コミュニケーション |
研究概要 |
都市リスクを持続の阻害要因とする時に、物理的破壊、循環構造の停止(資源・経済)、阻害排除の低下(現在と未来への無知)の内、阻害排除能力の低下を、現代都市の最重要リスク:都市の死とした(都市安全学)。 近代機械時代の死を迎え、都市リスクは、災害の波及被害の物理経済の問題から、犯罪の多様化やコミュニティ意識の低下等の市民社会の問題へ広がり、さらに経済のグローバル化による格差拡大や文化的対立によるテロや社会不安へ一層拡大している。この変化は、武力と経済の「力」による機械時代の限界であり、多様な価値観が存在する知恵時代の必然を示している。つまり、現代の都市リスクは、物理的、社会的、歴史的視点から評価する必要がある。例えば、機械時代都市の中でも資本集積の高い、東京、ニューヨーク、ロンドンは価値の多様化の中で、維持エネルギーや経済的な面からも、潜在的にリスクが増大した。つまりこれまでの社会価値がリスクに転化し始めた。 今、都市リスクの軽減のためには、知恵時代都市への移行が必然であり、その移行プログラムが必要だ。近代経済社会への移行は経済活動が近代技術を駆使してなし得たとすると、知恵時代への移行は知恵時代の市民によりなし得ることを否定できない。E・トッドは、民主化の背景を識字率と女性自身による受胎調節としているが、インターネット時代の識字率はメディアリテラシーと言える。このコミュニケーション技術をもって多くの社会プログラムが、国境を越えて都市間で交換されるであろうが、最も根本的な課題は多様な社会価値の共存である。特に大規模な投資、生産、消費のための社会資本と人口が集中する都市・地域・国では、単一的経済価値に基づく社会システムの運営により主体性を阻害している。主体的に価値を見いだすためのプログラムは、環境、文化などの包括的なものとなる。さらに突き詰めると、主体的時間の確保が課題となる。
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