研究課題
本プロジェクトは、ネットワークの態様と文化表象の生産の2点に着目して、東アジア、西アジア及び南アジアのエリートの比較研究を行い、アジアのエリート研究のための新しい視点を構築することを目的とする。最終年度に当たる本年度は、成果の取りまとめに重点をおくこととし、そのために、プロジェクトの総決算として国際シンポジウムを開催すると同時に、海外から研究者を招聘して個別の議論を深めることをめざした。国際シンポジウムは、「Elites in Asian History : Social Network and Cultural Representation」というタイトルの下に、2006年2月18・19の両日、東京大学東洋文化研究所で開催された。本シンポジウムでは、研究分担者8名全員が4年間の研究の成果を英語で発表した。また、海外共同研究者3名(宮嶋博史(韓国)、馬孟晶(台湾)、Tapati Guha-Thakurta(インド))及び招聘研究者3名(Daria Berg(英国)、Maryam Ekhtiar(米国)、Sumit Sarkar(インド))がペーパーを読むかたちで参加した。シンポジウムでは終始真剣で率直な討論が行われ、アジアのエリートが前近代的エリートから近代的エリートへと転形する「移行」の問題、「移行」のモデルとして西欧型は不十分であるという問題提起、テキストと画像を文化表象として関連させながら読み解く際の問題点、芸術のジャンルを横断した文化エリートのネットワークのあり方、南アジアの前近代エリートの研究が手薄であるとする指摘など、重要な問題が多面的に検討された。参加者数は平均して35名程度であった。本シンポジウムに提出されたペーパーと、討論の内容を中心にして、研究成果報告書を取りまとめる予定である。この国際シンポジウムと並行して、インディアナ大学のPaul E.Losensky準教授を招聘して、ペルシア語文化圏の伝統的エリートについて研究会をもった。また、貴重な漢籍1点を含むエリート研究関連文献を収集し、トルコ語基本資料のCD-ROM化を継続した。
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Paper presented at Workshop on ‘Partition and Independence in Heterogeneous Time', University of Tokyo, March 17, 2006.
ページ: 50
宋- 清代の法と地域社会(大島立子編)(財団法人東洋文庫)
ページ: 1-43
故宮文物月刊(台北故宮博物院) 274
ページ: 62-79
東洋陶磁 34
ページ: 45-58
国際シンポジウム公家と武家の比較文明史(笠谷和比古編)(思文閣出版)
ページ: 349-363
中国文学研究的新趨向-自然、審美与比較研究(鄭毓瑜編)(台北:台湾大学出版中心)
ページ: 29-46
記録と表象:史料が語るイスラーム世界(林佳世子、桝屋友子編)(東京大学出版会)
ページ: 245-267
講座日本美術史 第3巻 図像の意味(佐藤康宏編)(東大出版会)
ページ: 111-138
Paper presented at Workshop on ‘Networks and Empires : Indian Migrants/Merchants in East Asia and Beyond", Kyoto University, Oct 7-8, 2005
ページ: 33
Paper presented at Workshop "Toward a History of Consumption in South Asia:1850-1950", Gokhale Institute of Politics and Economics, Pune, India, 15-16 Dec.2005
ページ: 30
史朋 38
ページ: 23-50
What is to be Written? : Setting the Agendas for Studies of History (Reynaldo Ileto et al., eds.)(Singapore University Press) (掲載確定)