研究概要 |
本年度の主要な実績は2つある.その第1は,新しい研究の方法論と研究成果を体系的に初めて発表したことである.すなわち,マイクロステップ計測法の複雑な方法論を初めて発表した他,それを用いて新たに実現可能になった新しい教育評価法の有効性と,その成果を各種シンポジウムなどにおいて初めて発表した.方法論の複雑さゆえ,これまで,その方法を体系的にわかりやすく公表することが難しかった.また,方法論が明確に示せないため,その研究成果を体系的に公表することも非常に難しかった.今年度,方法論を一般の学術論文として発表する前段階として,一般的に理解できる形で,大きな枠組みを明確にすることができたことは,大きな進展といえる. 第二の主要な実績は,これまで汎用性の低かったパソコン用の学習端末のシステムを,携帯電話を用いたシステムへと移行する作業をおおむね完了したことである.今年度,様々な要因を考慮し,学習端末として携帯電話を利用することを決定した.次年度,このシステムの対応機種を増加させることで,ほぼユビキタスな学習に対応した研究が実現できると考えている. その他の実績としては,学校のドリル学習へマイクロステップ計測法を導入するため,OCRソフトとスキャナーを用いて学習データの収集と分析を一元的に実施するシステム作りを行った.まだ未完成であるが,雛型教材を作成し,技術的な問題は解決できることを確認した.一方,データベースのバックアップシステムの立ち上げは技術的な問題をまだ解決できておらず,実現できていない. 以上,今年度は,様々な情報機器を利用して,学習実験のデータ収集が可能にするための,技術的な基盤作りに労力が費やされたといえる.その開発は全体的にはおよそ7割完了したと判断している.また,それに付随して本研究の目的を実現する具体的な方向性もより明確になった.
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