研究課題/領域番号 |
14209012
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
半田 暢彦 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (00022559)
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研究分担者 |
西田 民人 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (60313988)
田上 英一郎 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50133129)
原田 尚美 海洋科学技術センター, むつ海洋研究所, 研究員 (70344281)
原 成光 宮崎国際大学, 比較文化学部, 教授 (50261243)
白岩 善博 筑波大学, 生物科学系, 教授 (40126420)
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キーワード | 古環境復元 / 中国西部砂漠域 / 塩湖 / 長鎖アルケノン / 炭素・窒素安定同位体比 / 花粉分析 / ボステン湖 / ドブス湖 |
研究概要 |
中国西部砂漠域のタクラマカン砂漠タミル盆地の塩湖であるボステン湖および内モンゴル自治区に近い吉林省の塩湖であるドブス湖から湖底堆積物柱状試料を採集し、放射性炭素による年代測定と通して堆積物の層序に関して時間尺度を入れた。本試料を用いて、塩湖を取り各周辺地域の古環境変動を復元するため、全無機炭素、全有機炭素・窒素、長鎖アルケノン、炭素・窒素安定同位対比、花粉、植物化石などの分析を行い、以下の結果を得た。 1)ボステン湖に関しては、全長87cmの柱状試料を採集した。放射性炭素年令データから現在から4,500年BP(Before Present)の試料であることを確認した。長鎖アルケノン指標(Uk'37)による水温は、現世〜1,500年BPでは摂氏4.5〜7.5度の範囲であったが、1,500年BP〜2,100年BPでは摂氏10〜12度、それ以深では低温期になっていることを確認した。炭素・窒素安定同位対比は、このような水温変化と同調して変化し、低温期ではdelta13C値が-22〜-25o/oo、高温期では-18〜-14o/ooであった。この結果は、低温期にC3植物が優先し、高温期にはC4植物が優先していたことを示した。現世の植生分布から、C4植物は高温乾燥域に生育する。このことから、高温期は乾燥期であったことを示唆している。この結果は、花粉分析の結果によっておおむね矛盾なく支持されている。 2)ドブス湖堆積物に関しては、冬季氷上から全長約6mの柱状試料を採集した。放射性炭素年令に関する測定結果は、最下層で9.500年BPの値を与えている。したがって、本試料は最終氷期以降のおよそ半分の時間をカバーしており、今後の研究成果が待たれる。
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