対向アンビル型高圧装置によって拘束された試料に光透過性アンビルを通してパルスレーザーを照射することにより試料の原子間結合を分解させ、それによって生じる膨張力を利用して超高圧を発生させる実験で、ルビー蛍光の圧力依存性を利用する圧力測定、ダイヤモンド単結晶の反射率の測定、および輻射スペクトルによる発生温度の測定を行った。その結果、1.サファイアアンビルを用いる高圧実験において、ルビー蛍光法による測定圧力の限界を越える超高圧が1msの間発生されること、2.サファイアアンビルとダイヤモンドアンビルを用いる実験において、ダイヤモンドアンビル圧力面とダイヤモンド単結晶粒子との境界面における反射率の急激な75%までの増大が観察されること、3.加圧後の上記ダイヤモンド単結晶表面の電子顕微鏡観察から推定される転位密度により結晶全体が塑性変形したと推定されること、4.上記反射率と塑性変形からダイヤモンドの金属化が推定されること、5.本方法により1TPaに近い超高圧が維持されること、および6.試料の部において1万度を越える高温の発生が推定されることがわかった。さらにまた、ルビー蛍光による測定圧力限界を越える圧力の測定とアンビル両面からのレーザー照射によって発生するさらに高い超高圧発生の確認のために、圧力による試料の体積収縮をX線回折によって測定する高圧力測定法が考案された。この測定を実現するために、パルスX線発生装置とイメージングプレートからなるX線回折装置および両面からのレーザー照射とX線回折を可能にするレーザー照射室を有する超高圧力測定システムを構築した。
|