研究課題/領域番号 |
14209015
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
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研究分担者 |
吉村 眞一 東海大学, 医学部, 講師 (30230808)
安藤 麻子 東海大学, 医学部, 講師 (40101935)
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
山森 哲雄 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所・種分化第一研究部門, 教授 (80260206)
山形 哲司 東海大学, 医学部, 助手 (00338766)
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キーワード | MHC / H2分子 / 中枢神経系 / 発現解析 / 免疫染色 / 古典的クラスI分子 / 非古典的クラスI分子 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
免疫応答に重要な役割を担っている主要組織適合抗原複合体(MHC)分子は、従来、大脳などの中枢神経系ではほとんど発現していないとされ、また免疫システムそのものが中枢神経系ではほとんど機能しないことから、その役割についても解析されていない。我々は中枢神経系におけるMHC分子の役割を解明することを目的として、本年度は、中枢神経系で発現しているMHC(H2)分子を網羅的に明らかにするために、RT-PCRおよびその塩基配列解析、特異抗体を用いた免疫染色などによる解析を行った。 BALB/c並びにC57BL/6マウス(♂、4W)大脳では、抗H2クラスI抗体により、血管内皮細胞、脈絡膜が強く染色され、神経細胞は一部の例外を除いて全体的に弱く染色されるのみであった。大脳のRT-PCR産物の塩基配列解析ではH2-K, H2-D遺伝子の発現が検出された。この古典的クラスI分子の血管内皮細胞における発現は、抗フォンビルブラント因子抗体を用いた免疫染色の結果からも確認された。これらの結果から、古典的クラスI分子は、血管内皮細胞と脈絡膜に発現され、神経細胞にはほとんど発現していないと考えられた。 一方、非古典的クラスI分子であるQa-1に対する抗体では、大脳皮質第V、VI層を中心に多数の神経細胞が特異的に染色された。同様に非古典的クラスI分子であるTLに対する抗体では、ほとんどの神経細胞が染色され、RT-PCR法によってBALB/cではTL-T17、C57BL/6ではTL-T22のmRNAが認められた。小腸で強い発現が認められるTL-T3分子は大脳では発現が認められなかった。これらの結果から、非古典的クラスI分子が神経細胞に特異的に発現していること、またその種類によっては発現部位が異なることが明らかになり、これらの非古典的クラスI分子が大脳において何らかの役割を果たしていることが示された。
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