研究課題
古鏡は、弥生時代から古墳時代にかけて、墳墓の最も重要な副葬品の一つである。なかでも、三角縁神獣鏡は、邪馬台国論争や大和政権による国家統一事業と結びついて、重要な歴史的意義を持つと考えられてきた。ところが、古鏡は全国に分散して保管されているために、研究者の多くは実物を比較しながら詳細に検討する機会に恵まれなかった。そのために、古鏡の研究方法は、限られた研究者による実物観察か、写真による平面的な図像比較に限られてきた。本研究では鏡のレーザー三次元形状計測、デジタルマイクロスコープによる表面加工痕跡の立体的な記録、高精度透過X線像による内部解析などのデジタル技術を駆使することで、古鏡を立体的・構造的・製作技術的に研究するための三次元デジタル・アーカイブを構築している。本年度は、3カ年計画の最終年度である。まず、前年度に引き続き、泉屋博古館、京都大学総合博物館、橿原考古学研究所附属博物館所蔵の古墳出土鏡群について、鏡表面のレーザー三次元形状計測、透過X線写真の撮影、デジタルマイクロスコープによる表面加工痕跡の観察などを行った。また、可搬性の三次元測定機(ATOSII)を使って、宮内庁書陵部所蔵鏡を調査した。その結果、これまでに約600面(約260面の三角縁神獣鏡を含む)の三次元計測と実物の熟覧観察を終了した。さらに、本研究の成果公開として、平成17年3月に橿原考古学研究所附属博物館にて、『大和の鏡-宮内庁書陵部所蔵鏡を中心として-』を実施した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
橿原考古学研究所附属博物館図録
ページ: 1-10
宮内庁書陵部陵墓課
ページ: 1-134
日本文化財科学会第21回大会研究発表要旨集 2004年
ページ: 184-185
ページ: 186-187