古代インドにおける宗教的造形の諸相-寺院建築と美術の成立と展開-

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14251001
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 宮治 昭 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (70022374)
• 研究分担者: 秋山 光文 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (60130861) ; 立川 武蔵 国立民族学博物館, 教授 (00022369) ; 小寺 武久 中部大学, 工学部, 名誉教授 (20023062) ; 野々垣 篤 名古屋大学, 工学部, 講師 (10283392) ; 森 雅秀 金沢大学, 文学部, 助教授 (90230078)
• キーワード: 佛教石窟 / ヒンドゥー教寺院 / グジャラート州 / ラージャスターン州 / 階段井戸 / シャマラージ / ジュナーガド / バローダ博物館

研究概要

インドのグジャラート州およびラージャスターン州に存在する、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の遺跡、および関連する博物館所蔵作品の調査を行った。主な遺跡・博物館として、バーグ仏教石窟、グムリ、ゴープのヒンドゥー教寺院、ビレシュワルのヒンドゥー教寺院、ジュナーガドの仏教石窟、バローダ博物館、バローダ大学付属博物館、アダラジ階段井戸、モデラー階段井戸、ローダのヒンドゥー教寺院、シャーマラージのヒンドゥー教寺院、同博物館、アーブー山のジャイナ教寺院群、ジャガト、ナークダーのヒンドゥー教寺院などである。未調査、未紹介の遺跡、彫刻類も多く、多くの写真資料が収集できた。とりわけジュナーガドの仏教石窟、シャーマラージのヒンドゥー教寺院、シャーマラージ博物館やバローダ博物館の所蔵品などは、従来見落されてきたが、重要な遺跡・作品群であることがわかった。また階段井戸も部分的には紹介されているが、多くの遺跡があることも判明し、この地域の仏教石窟との関連も含め、地域的な特質を考える上で重要なものであることも明らかとなった。
実地調査と収集された資料に基づいて、グジャラート州の仏教石窟の様相、グジャラート州・ラージャスターン州の中世ヒンドゥー教寺院の建築形態の様相と彫刻装飾との関連、アーブー山のジャイナ教寺院群の歴史と建築・彫刻の様相などについて研究を行っている。
なお、儀礼・図像に関する研究として、ネパール・カトマンズのスヴァヤンブー寺院、およびベトナム・ダナンのミーソン遺跡の調査を行った。

研究成果

• [文献書誌] 宮治 昭: "「舎衛城の神変」と大乗仏教美術の起源-研究史と展望-"美術学美術史研究論集. 20号. 1-27 (2003)
• [文献書誌] 宮治 昭: "アジア的視点から見た大仏の造像"ザ・グレイトブッダ・シンポジウム論集 論集 東大寺の歴史と教学. 1号. 139-148 (2003)
• [文献書誌] MIYAJI Akira: "The Iconographic Program of the Murals in the Ceiling of Bamiyan Caves-Bodhisattva Maitrea Touasand Buddhas, Bejewellde Buddha and the Scene of Parinirvana--"Journal of Studies for the Integrated Text Science. Vol.1, No.1. 121-152 (2003)
• [文献書誌] 森 雅秀: "空海の芸術論 芸術と儀礼"高木〓元・岡村圭真編 密教の聖者 空海. 吉川弘文館. 184-200 (2003)
• [文献書誌] 森 雅秀: "ヴァジュラーヴァリー「墨打ちの儀軌」和訳(上)"金沢大学文学部論集 行動科学・哲学編. 24号. 71-117 (2004)
• [文献書誌] 森 雅秀: "金剛界マンダラのヒンドゥー神"小野塚幾澄先生記念論集. ノンブル社. 1-21 (2004)
• [文献書誌] 野々垣 篤: "南コーサラの古代寺院建築の形態に関する研究-ラージムのヒンドゥー寺院について-"2003年度日本建築学会関東支部研究報告集. 521-524 (2004)
• [文献書誌] 宮治 昭: "仏像学入門-ほとけたちのルーツを探る-"春秋社. 338 (2004)
• [文献書誌] 立川 武蔵: "空の思想史"講談社. 340 (2003)
• [文献書誌] TACHIKAWA Musashi: "Mother -Goddesses in Kathmande"Adroit Publishers. 192 (2004)