研究課題
基盤研究(A)
ラオス、カンボジア、タイ、インドネシア、フィリピン、スリランカの6カ国を調査対象国として、学校教育の量・質的側面やインプットとアウトプットを結ぶ教育生産関数に着目した国際協力援助方法の比較研究を行った。対象国は教育普及段階に応じて、1.初等教育の普及が困難なラオス及びカンボジア、2.前期中等教育の普及過程にあるタイ及びインドネシア、3.基礎教育の質的向上を目指すフィリピン及びスリランカ、の3分類をして文献調査研究・フィールド調査を行った。フィールド調査では、基礎教育の現状とともに、国際協力援助に応用できる各国の革新的なプログラムに焦点をおいて調査した。この結果、ラオス及びカンボジアでは量的側面の問題が浮き彫りにされ、校舎等の不足・不備が指摘されるとともに、それを補う形で1校のコアスクールと5校から6校からなるサテライトスクールのクラスタースクール制度が両国において実施されていることが判明した。また、タイとインドネシアでは前期中等教育の普及は量的側面だけでなく質的側面の両方を考慮した政策・プログラムが実施されていること、それには親やコミュニティが積極的に関与する方針がとられていることが把握された。フィリピンとスリランカでは質的側面の向上ということで、スクールファクターとしての教員養成・研修に重点が置かれるプログラムが中心的役割を果たしていることが理解された。このように基礎教育レベルにおける国際協力援助は、受取国の教育普及の程度によってグループ分けするなどの方策が必要であることが判明した。