研究課題/領域番号 |
14251010
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
福田 アジオ 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (60120862)
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研究分担者 |
田島 佳也 神奈川大学, 経済学部, 教授 (40201610)
橘川 俊忠 神奈川大学, 法学部, 教授 (80343630)
津田 良樹 神奈川大学, 工学部, 助手 (00112996)
常光 徹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (40321541)
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (90235846)
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キーワード | 民俗誌 / 江南 / 漁業村落 / 廟 / 族譜 / 民家建築 / 国際研究者交流 / 中国 |
研究概要 |
本研究課題は、4年の継続課題として採択され、本年度はその3年目であった。研究課題を達成するためのもっとも重要な1年だったと言える。本研究は、従来ほとんど取り上げられることがなかった中国江南地方の沿海部漁業村落において調査団方式による詳細な民俗誌的調査を実施し、村落の民俗文化を全体的・総合的に把握する民俗誌を作成することで今後の中国の民俗文化研究に貢献しようとするものである。江南地方の中心地域である浙江省の2村落を調査対象地として設定し、初年度から継続反復調査をおこなってきたが、過去2年間は1回の調査で2村落を訪問する方式を採用したため、1村落における調査滞在日数は短くせざるを得なかった。そのため、詳細な事例集積が十分にできなかった。本年度はその欠点を克服するため、8月と3月にそれぞれ村落1カ所のみを対象として実施する方式を採用した。そのことによって、村落内の民俗伝承について具体的、個別的に把握することができ、最終年度に研究成果報告書として作成刊行を予定している民俗誌の内容を豊かなものになることを確信することができた。 本研究課題が調査研究対象としている2村落は、浙江省寧波市象山県石浦鎮の東門島と温嶺市石塘鎮〓山であるが、8月には東門島、3月には〓山において調査を実施した。それぞれの成果はほぼ以下の通りである。先ず、東門島においては、いくつもの廟があり、それを拠点とする活動、特に廟会における島外から劇団を招いての演劇活動が人々の娯楽に大きな役割を果たしていること、そしてそれらの活動の経済的基盤は漁船からの寄付金で賄われていることを把握した。そして、近年の動向として新たな宗教施設が造られると共に、また多くの若い島外出身者の仏教僧侶が廟に住み、活発に活動している点も注意された。他方、〓山については、福建省からの移住を伝え、現に福建語を用い、また福建と共通する民俗が少なからず見られることはすでに判明していたが、それらの具体相について把握することができた。さらに、福建省恵安県出自を伝える陳氏の族譜を全册(450ページ余)写真撮影を行うことができた。また古くからの民家建築についていくつかの家の実測図を作成することができた。
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