研究課題/領域番号 |
14251014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
石澤 良昭 上智大学, 外国語学部, 教授 (10124851)
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研究分担者 |
片桐 正大 日本大学, 理工学部, 教授 (50059515)
村井 吉敬 上智大学, 外国語学部, 教授 (40129797)
青柳 洋治 上智大学, 外国語学部, 教授 (60146800)
荒樋 久雄 アジア文化研究所, 研究員
中尾 芳治 帝塚山学院大学, 文学部, 教授 (70227734)
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キーワード | 熱帯アジア水利都市 / バライ(貯水池) / 田越し灌漑 / 大扇状地形 / 蓄力犂耕稲作 / 水利用語 / 灌漑網 / 貯水・排水 |
研究概要 |
1、国内における活動 1)データベース化作業:JICA作成地形図およびグロリエ水利都市論の再点検作業2)資料、州・村落地図等の資料カタログ作成:『フランス極東学院紀要』(Bulletin de l'Ecole Francaise d'Extreme-Orient:略称EFEO)および同学院出版物などを1901年から2001年まで調査し、水利関連の関係カタログの作成を行なった。3)調査のための研究会:(1)水利都市論争の論点研究、(2)水利研究会を開き、調査手順・調査項目・調査方法などの周知徹底を図った。 2、現場における調査研究活動 1)州政府・アプサラとの打ち合わせ会議:ソンコン氏、ブン・ナリット総裁、ロスボラット氏と打ち合わせ。現場における研究協力体制の確認、調査地点の調査方法の確認。2)アンコール時代の水利都市調査:(1)遺跡と水利施設の再調査・考察、(2)日本政府の技術協力で作成されたアンコール地域の5000分の1の地形図から東西方向にいくつもの小土手や小堤防が走っているのが見えるのを確認。(3)上位にある貯水池から必要に応じて土手を切って水を下位へ流すことにより田植えなどが可能。(4)この地形図をコンピューター・グラフィックで確認。(5)この地形図により初めて古代の土手や畦道が明らかになった。アンコール地域の地形は微高地形図の高低差を40倍に強調して再現すると北から南にわずかに傾斜しており下の土手を切れば、水は低い方に落ちていく。仮説では土手に囲まれた大区画を1枚の田として田植えを行ない、稲が根づいたら最小限の水を残して下の次の囲いの大田地へ水を流していく。(6)これこそ巨大な「田越し灌漑」といわれるものである。世界に類例のない灌漑方法であることが判明した。(7)アンコール朝時代では、1年に3度も繰り返されるこの田植えの作業があったとされ、それはアンコール朝の隆盛を維持する経済的原動力となったことが推察された。3)建築・考古班(片桐、中尾)は水利構築物調査・オーガによる地下ボーリング、灌漑工学班(荒樋)は農業水利痕跡調査およびあぜ道の確認、社会経済班(村井、ベリアト)は地域経済と灌漑道具類の調査、歴史・考古班(石澤、青柳)は遺跡土層、窯跡調査を行なった。
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