研究課題
基盤研究(A)
本研究はこのテオティワカン国の起源とその国家イデオロギー、政治体制に焦点を当て、「月のピラミッド」の発掘を目的とした総合的考古学調査である。1998年から初めた発掘プロジェクトを発展させたもので、本調査ではさらに2002年7-10月、2003年7-10月、2004年7-12月の調査期間に「月のピラミッド」上部と、「月の広場」複合体内部の限定区域を集中的に発掘調査し、保存・修復作業は2005年3月まで続いた。今後は遺物を収蔵しているメキシコ国のサン・フアン・テオティワカン研究センターと愛知県立大学、その他の研究機関において資料整理・解釈から成果の出版を重点的に行う予定である。「月のピラミッド」の地山レベルでのトンネル発掘により7時期の重なり合ったピラミッド基壇と3基の生贄葬墓が存在することを確認し、また外部では隣接する住居祉、関連施設、床と壁の葺き替え跡、黒曜石工房址などを発見した。「月のピラミッド」内部調査では、まず建造物5(ピラミッド)の上部調査と、そこで発見された埋葬体5の内部調査を2003年までに終了した。内部から3体の埋葬体と多くの副葬品、そして生贄にされたと思われる動物体を発見した。2004年は建造物5(ピラミッド)の中心付近に新しく入れたトンネル発掘で発見された埋葬体6の内部調査を完了した。墓室内からは12体の人骨のほか、生贄埋葬されたと思われる動物体、植物繊維質遺物、そして貝製品、土器、黒曜石や緑石(ヒスイ、または蛇紋石)、黄鉄鉱製品が副葬品として発見されている。また「月の広場」複合体の発掘調査は「月のピラミッド」西側に隣接した住居複合体6のトレンチ発掘、「月の広場」に面する中型プラットホーム内部へのトンネル発掘、そして「ケツアル蝶宮殿」-「ジャガーの中庭」建築群の3次元測量による調査が行なわれた。
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