• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

中国内陸部における地域開発に関する総合的研究:新たな地域開発モデルの構築をめざして

研究課題

研究課題/領域番号 14252005
研究機関神戸大学

研究代表者

加藤 弘之  神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70152741)

研究分担者 中兼 和津次  青山学院大学, 国際政経学部, 教授 (80114958)
毛里 和子  早稲田大学, 政経学部, 教授 (40200323)
菱田 雅晴  法政大学, 法学部, 教授 (00199001)
丸川 知雄  東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (40334263)
梶谷 懐  神戸学院大学, 経済学部, 助教授 (70340916)
キーワードグローバル化 / 中国 / 地域開発 / 労働力移動 / 地方財政 / 教育 / 土地流動化 / 地域格差
研究概要

本研究課題の最終年度に当たる今年度は、昨年度から準備を進めていた国際シンポジウムを開催できたことが、最も重要な研究実績である。2004年9月4日〜5日に、四川省都江堰市において国際シンポジウムを開催し、研究成果の発表を行うとともに、内外の研究者との研究交流を深めた。シンポジウムの参加者は日本側が18名、中国側が32名の合計50名であった。シンポジウムには30編の論文が提出されたが、これらの論文に修正を加え、新たな論文を追加した研究成果は「全球化与中国内陸区域経済発展論文集」(四川人民出版社、2005年3月出版予定)として公開した(シンポジウムの開催と論文集の作成については、神戸大学経済学部・経済研究所21世紀COEプロジェクト「新しい日本型経済パラダイムの研究教育拠点」から一部資金援助を得た)。また、国内においても、2005年2月11日に神戸大学において最終成果報告会を開催した。この最終成果報告会には、中国から郭暁鳴(四川省社会科学院農村経済研究所所長)と、曹錦清(華東理工大学教授)をとくに招聘して、研究交流を深めた。
本研究で得られた新たな知見はつぎのとおりである。
1.グローバル化の進展が内陸部と沿海部との地域格差の拡大に結果していることが明らかにされた。とくに、内陸部の中小都市においてそれは深刻であり、インフラ建設の強化が必ずしも格差縮小をもたらしていない。
1.内陸部県以下レベルの経済が直面している問題の深刻さが明らかになった。その主たる問題は、(1)「喫飯財政」、すなわち支出のほとんどが人件費で消えるような財政状況にあること、(2)制度化された財政収入を表す「予算内資金」が不足していること、(3)負債が積み増されていること、(4)医療、教育などの基本的な公共サービスを実施する人的、物的な力がないことの四点に集約される。
2.教育の役割の重要性が明らかになった。貧困地域での教育レベルを保持するためには、教育関連支出の財政負担を郷村政府から県政府へ移管する必要があるが、それと同時に、有限な資源の有効利用をはかるために、教育の収益性をいかに上げるかにも注目すべきである。
3.土地流動化政策にかかわる新たな論点が明らかになった。グローバル化の直接的インパクトのひとつが、出稼ぎの増大であるが、出稼ぎ者が耕作しなくなった土地をどう有効利用するかが問題となっている。実態調査にもとづくと、農業の収益率が低いため、土地経営権の移転は有効に機能しておらず、農地の粗放的利用が進行している現状が明らかになった。
本研究では、主として県レベルの地方政府、企業、中間組織の活動に焦点をあてて進めたが、研究を進める過程で、より下級の郷村レベルあるいは農家レベルでの生産・消費行動のミクロ分析の必要性を痛感した。この点は今後の研究課題として残されている。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (7件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 中国農村教育の経済効果2005

    • 著者名/発表者名
      中兼和津次
    • 雑誌名

      構造調整下の中国農村経済(田島俊雄編)(東京大学出版会)

      ページ: 155-183

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] グローバル化と地域格差:中国とブラジルの比較2005

    • 著者名/発表者名
      加藤弘之, 西島章次
    • 雑誌名

      国民経済雑誌 191巻2号(近刊)

  • [雑誌論文] グローバリゼイションと中国:移行期の観察2004

    • 著者名/発表者名
      毛里和子
    • 雑誌名

      早稲田政治経済学雑誌 第354号

      ページ: 14-20

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 中国のいちばの商人たち:その流通ネットワークと人的ネットワーク2004

    • 著者名/発表者名
      丸川知雄
    • 雑誌名

      商工金融 54巻2号

      ページ: 4-17

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 共産党のメタモルフォス2004

    • 著者名/発表者名
      菱田雅晴
    • 雑誌名

      大中華(渡辺利夫他編)(岩波書店)

      ページ: 257-262

  • [雑誌論文] 温州産業集積の進化プロセス2004

    • 著者名/発表者名
      丸川知雄
    • 雑誌名

      三田学会雑誌 96巻4号

      ページ: 59-79

  • [雑誌論文] 財政・金融からみた中央と地方2004

    • 著者名/発表者名
      梶谷 懐
    • 雑誌名

      中国経済論(加藤弘之, 上原一慶編)(ミネルヴァ書房)

      ページ: 149-169

  • [図書] 全球化与中国内陸区域経済発展論文集(中国語)2005

    • 著者名/発表者名
      加藤弘之, 郭暁鳴
    • 出版者
      四川人民出版社(近刊)
  • [図書] 現代中国政治2005

    • 著者名/発表者名
      毛里和子
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      名古屋大学出版会
  • [図書] 経済発展と社会変動2005

    • 著者名/発表者名
      菱田雅晴, 園田茂人
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      名古屋大学出版会
  • [図書] 中国経済論2004

    • 著者名/発表者名
      加藤弘之, 上原一慶
    • 総ページ数
      310
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] グローバル競争時代の中国自動車産業2004

    • 著者名/発表者名
      丸川知雄, 高山勇一
    • 総ページ数
      323
    • 出版者
      蒼蒼社

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi