研究課題/領域番号 |
14252008
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長南 史男 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00113697)
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研究分担者 |
山口 淳一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80001478)
黒河 功 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90125310)
近藤 巧 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40178413)
耕野 拓一 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (20281876)
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (80272441)
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キーワード | 伝統的農業 / 近代的農業 / ラオス / ネパール / TFP / バングラデシュ / エコロジー / GIS |
研究概要 |
本年度は、ネパールの丘陵地域、インドのシッキム州、スリランカ、パキスタンのシンド州、バングラデシュにおいて本調査を実施した。またラオスのメコン河流域については研究協力者が調査を実施した。 方法論として、環境要因(外部不経済)を考慮した総合要素生産性(TFP)の計測方法を調査知見にもとづき理論的に検討した。伝統的な農法はTFPが低位で、長期的に一定であるが、自然災害などのリスク変動による年次効果がきわめて大きい。これを相殺すべく、広域的な生態系を利用した農業(遊牧など)に依存する傾向がある。これに対して、近代農法はTFPを上昇させる可能性は大きいが、TFPの上昇を相殺する環境効果が長期的に表れる。また調査の知見は、もともと土地利用度の低い地域における水資源開発がもたらした環境悪化と本来労働集約度の高い農業地域での環境悪化とでは、大きな差がある。外部不経済をコントロールする機構をどのように組み込むのかが、TFPの方法改善で重要であることを示唆する。 ネパールの農民の自発的な行動による外部不経済を最小限にとどめる努力は、伝統的な農法を理解する上で示唆に富む。ラオスの氾濫原における人力移動式揚水ポンプ利用農業なども同様である。技術移転の過程における伝統農法並存の認識から、連続性へ認識への転換の重要性について確認できた。 このほか、EARDASを使用して衛星写真を解析し、GPSにより作成した調査地域図と重ね、調査対象地域のエコロジカルな視点からの開発の特徴を経年的にとらえる方法の経済分析への適用可能性を明らかにした。
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