研究課題
基盤研究(A)
この研究の目的は、伝統的な農法を静態経済学的な見地から評価することである。生態系を考慮して、ネパールのカトマンズ盆地および傾斜地農業、インドのシッキム州北部県の傾斜地農業、スリランカのタンク灌漑システム、パキスタンのシンド州の過剰湛水・塩害地域、バングラデシュの汽水域の水稲・エビ養殖システム(ゲールファーミング)、ラオスのメコン河氾濫地域および焼畑農業地域において農村経済調査を実施した。またGPSで作成した実態調査図と経年的な衛星デジタル情報をEARDASで解析し、調査対象地域のエコロジカルな視点からの開発経済分析における有効性を明らかにした。総合要素生産性(TFP)の計測により生態系と生産性増加の関係を分析した。伝統的な農法のTFPは低位にとどまるが、自然災害などのリスク変動を相殺すべく、より広域的な生態系を利用した農業(遊牧など)を組み合わせることによって農家収入を安定的なものにしている。これに対して、近代農法は長期的にTFPの上昇を相殺する負の環境効果が表れ、これを制御するために追加的な投資が必要になる。この時、多くの農家は経済負担に耐え得ない。労働集約度の高い農業地域では、外部不経済発生時の環境制御に大きな差が生じている。農民の自発的な行動は外部不経済を最小限にとどめ、伝統的な農法から近代的な農法への移行を容易にする。ネパールの馬鈴薯灌漑、ラオスの氾濫原における人力移動揚水ポンプ利用、ゲールファーミングはその好例である。伝統農法と近代農法の連続性に対する認識が今後、重要である。
すべて 2005 2004 2003 2002 その他
すべて 雑誌論文 (15件) 図書 (1件)
農経論叢 61
ページ: 1-15
ページ: 85-100
開発学研究 15・3(印刷中)
The Review of Agricultural Economics Vol.60
ページ: 1-16
The Review of Agricultural Economics Vol61
ページ: 71-84
農経論叢 60
ページ: 1-18
ページ: 273-287
Journal of Bangladesh Studies 6・No.1&2
ページ: 51-61
Journal of Bangladesh Studies Vol6, No.1, 2
The Review of Agricultural Economics Vol.59
ページ: 127-142
Irrigation Sustainable Agriculture, Poverty and Food Security (Edited by S.S.Acharya, S.Singh, others)(Rawat Publications, Jaipur and New Delhi) Volume 1
ページ: 203-213
Journal of Rural Economics Special Issue 2003
ページ: 462-464