研究課題/領域番号 |
14252011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (80093334)
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研究分担者 |
安藤 和雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (20283658)
原 隆一 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (70198901)
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (70190494)
河合 明宣 放送大学, 教養学部, 助教授 (90195024)
竹田 晋也 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (90212026)
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キーワード | 環ヒマラヤ / 山地草原 / 生態資源 / 垂直分布帯 / 乳加工技術 / チベット族 / 牧畜 / 複合農業 |
研究概要 |
第2年目の本年度は、ヒマラヤ山脈を取りまく多様な文化社会生態空間を把握するために、前年度の予備調査による成果を基に広域班と個別地域班とにより本調査を行った。 広域班 中国チベット自治区のラサからパキスタン国境にかけて、チベット牧畜民の家畜管理、乳加工の技術体系、野性動物の狩猟と野性植物の採集など、牧畜システム・生態利用・社会構造について広域に現地調査を行った。チベット牧畜民は、かつて、生活と生産物管理とが中央集権によって統制さていた。このような、ダライラマを頂点とする超大ヒエラルキー下の牧畜生活がいかに変容したかを、文化社会生態空間面から明らかにした。 個別地域班 ヒマラヤ班では、生態資源を農耕・牧畜・林野の複合体として捉え、地域的差異、流通、人の移動などに着目して、生態資源複合体の許容力と限界性についてネパールを事例に調査を行った。自然障害による流通の遮断、資本集約化による経済混乱、組織・行政の未整備などの諸問題を明らかにし、生態資源複合体を文化社会生態学的に分析した。更に、焼畑と常畑との人口扶養力を理論生態学的に比較分析し、焼畑は常畑より人口扶養力が高いとの仮説を提起した。 中央アジア・西アジア乾燥沙漠班では、生態資源と社会変容、牧畜民、水資源などについてイラン全域で調査を行った。かつて牧畜民は、治安維持の必要性から部族連合を形成し、その政治的勢力が宿営地の場所や移動ルート、生産物の生産法や換金法に多大な影響を与えていたことを明らかにした。 アジア大河川流域班では、インドにおいて、生態資源を調査すると共に、農具の収集に努めた。この農具の形態比較から、生態資源利用法の多様性を検討し、農耕技術の伝播と変遷の一部を明らかにした。また、様々な文化社会生態空間への人類の適応性を検討するために、ミャンマー、ベトナム、ラオスとで老年医学的検診を実地し、本プロジェクトの視座を人類医学へ理論展開を試みた。
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