東アジア価値観国際比較調査―「信頼感」の統計科学的解析―

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14252013
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 統計数理研究所
• 研究代表者: 吉野 諒三 統計数理研究所, 領域統計研究系, 助教授 (60220711)
• 研究分担者: 鄭 躍軍 統計数理研究所, 領域域計研究系, 助手 (80280527) ; 山岡 和枝 厚生省国立保健医療科学院, 技術評価部, 室長 (50091038) ; 林 文 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (00180977) ; 村上 征勝 統計数理研究所, 領域統計研究系, 教授 (00000216) ; 佐々木 正道 兵庫教育大学, 教育学部, 教授 (30142326)
• キーワード: 東アジア / 価値観 / 信頼 / 意識調査 / 標本調査 / データの科学 / 国際比較 / 統計分析

研究概要

1)本研究の重点は、以下のa)、b)、c)である。
a)文化の伝播変容のために、東アジア諸国の人々の意識構造について統計科学的「標本抽出法」に則った面接調査を遂行する。
b)特に、21世紀における国際交流の中で、東アジア諸国民の「信頼感」のあり方について焦点を当て、世界の政治・経済の平和的発展の一助となる基礎情報を与える分析を推進させる。
C)収集した「東アジア諸国民の意識調査」の情報を中心に、既存の「意識の国際比較調査データ」等とともにデータ・ベースを作成し、コンピユーター・ネットワーク等を利用して世界へ一般公開する。
本年度は、東アジア価値観調査のために、以下の1)〜5)を遂行した。
1)東アジア各国の関連基礎資料、文献等を収集・整理。
2)中国の調査予定地域を視察し、調査環境を確認。現地調査研究者と連携しながら、標本抽出の実践的検討を行い、同時に調査項目の候補を選定。
3)国内外の調査関連の研究者との連携により、調査票の項目の検討と具体案の作成。
4)国内外4地域用の調査票の日本語暫定版を作成し、現地研究者の協力により翻訳・再翻訳(バツクトランスレーション)の手続きを経て、プリテスト用調査票を作成。
5)9月下旬各地域でのプリテスト実施
10月上旬プリテストの結果検討後、必要な修正を加え、本調査用の調査票の最終版確定
11月〜翌年2月日本及び中国3地域での本調査実施
調査対象:日本及び北京、上海、香港に居住し、各地域の国籍をもつ成人男女。
調査法:住民票・戸籍簿等から無作為層別抽出した対象に、面接調査を遂行。
調査項目:各地域の人々の一般的意識構造、特に対人関係、集団内や集団間、社会制度やリーダーに関する「信頼感」を主とした項目。
1月上旬〜翌3月回収データ・クリーニング、単純集計表作成、一次的データ分析、調査結果の解釈について検討し、第一次報告書をまとめた。

研究成果

• [文献書誌] 吉野諒三: "階層的2進分解モデル(HiBiD)の構成-個と集団の認知の力動的解析のための「社会量子論」-"認知科学. Vol.9,No.2. 213-229 (2002)
• [文献書誌] Yoshino, R., Hayashi, C: "Editorial of the special issue : "comparative study of national character""Behaviormetrika. Vol.29,No.2. 121-124 (2002)
• [文献書誌] Yoshino, R., Hayashi, C: "An overview of cultural link analysis of national character"Behaviormetrika. Vol.29,No.2. 125-141 (2002)
• [文献書誌] Yoshino, R: "A time to trust -a study on peoples' sense of trust from a viewpoint of cross-national and longitudinal study on national character -"Behaviormetrika. Vol.29,No.2. 231-260 (2002)
• [文献書誌] 吉野諒三: "「信の崩壊」…世論調査方法論の今日の課題.展望「21世紀の行動計量学」"行動計量学. 第29巻第1号. 45-54 (2003)
• [文献書誌] Yoshino, R., Hayashi, C: "Editorial of the special issue : "comparative study of national character"Continued"Behaviormetrika. Vol.30,No.1. 5-6 (2003)
• [文献書誌] Yoshino, R., Zheng, Y.: "Diversity Patterns of Attitudes Toward Nature and Environment in Japan, USA, and European Nations"Behaviormetrika. Vol.30,No.1. 21-37 (2003)
• [文献書誌] 中尾啓子: "社会関係的資源の保有と利用:就職におけるパーソナルネットワークの役割"総合都市研究. 第78号. (2002)
• [文献書誌] 中尾啓子: "社会階層とジェンダー"岩井紀子・佐藤博樹編『日本人の姿-JGSSにみる意識と行動-』有斐閣選書. 155-160 (2002)
• [文献書誌] 中尾啓子: "地位達成過程における転職-JGSS-2000調査データを用いての検討-"日本版General Social Surveys研究論文集:JGSS-2000で見た日本人の意識と行動,東京大学社会科学研究所. 1-16 (2002)
• [文献書誌] 中尾啓子: "パーソナルネットワークの概要と特性:東京都居住者対象のネットワーク調査から"森岡清志編『パーソナルネットワークの構造と変容』都市研叢書. 17-39 (2002)
• [文献書誌] 林文, 佐々木正道: "日米の親子調査-親子間における考え方の継承について-"日本行動計量学会第30回大会発表論文抄録集. 342-343 (2002)
• [文献書誌] 林文: "調査結果をどう読むか(特別セッション「集団と個」に関するデータ解析の問題点)"日本行動計量学会第30回大会発表論文抄録集. 77 (2002)
• [文献書誌] 林文: "日本人の自然観"こしじ水と緑の会会報. 第6号. 2 (2003)
• [文献書誌] 中尾啓子: "階層帰属意識と生活意識"理論と方法. vol.17,No.2. 135-149 (2002)
• [文献書誌] Tamiya N, Yamaoka K, Yano E: "Use of home health services covered by new public long-term care insurance in Japan : impact of the presence and kinship of family caregivers"Int J Qual Health Care. Aug. 14(4). 295-303 (2002)
• [文献書誌] 山岡和枝: "行動計量学とEvidence-based Medicine"行動計量学. 28(2). 39-43 (2001)
• [文献書誌] Hayashi LC, Hayashi S, Yamaoka K, Tamiya N, Chikuda M, Yano E: "Ultraviolet B exposure and type of lens opacity in ophthalmic patients in Japan"Sci Total Environ Jan 20. 302(1-3). 53-62 (2003)
• [文献書誌] Yamaoka K, Hayashi C.: "Cultural link analysis of Japanese Americans"Behaviormetrika. 30(1). 7-19 (2003)
• [文献書誌] 鄭躍軍: "NOAA/AVHRRデータの解析による土地利用・被覆分布に関する考察"応用統計学. Vol.31(1). 23-40 (2002)
• [文献書誌] Murakami. M: "Classical Text, Read or Fake?"Pacific Neighborhood. No.3. 331-334 (2002)
• [文献書誌] Sasaki Masamichi: "Presidential Address : The moral Fabrics in Contemporary Societies"The Annals of the International Institute of Sociology. Vol.9. 1-54 (2002)
• [文献書誌] 吉野諒三: "認知科学辞典(研究法・統計の項目一部執筆,日本認知科学会編)"共立出版. 1015 (2002)
• [文献書誌] 吉野諒三, 林文, 山岡和枝: "社会調査ハンドブック(林知己夫監修、第5章,第13章1節,第11章1節執筆)"朝倉書店. 757 (2002)
• [文献書誌] 林文, 山岡和枝: "調査の実際"朝倉書店. 232 (2002)
• [文献書誌] 山岡和枝: "健康関連QOLにおよぼす性格特性の影響(in多変量解析実例ハンドブック,柳井晴夫、岡太彬訓、繁桝算男、高木広文、岩崎学(編))"朝倉書店. 889 (2002)
• [文献書誌] 鄭躍軍, 村上征勝, 吉野諒三, 前田忠彦, 他: "日本・中国の国民性比較のための基礎研究-中国北京市における意識調査-"統計数理研究リポート89. 263 (2003)
• [文献書誌] 村上征勝: "文化を計る-文化計量学序説-"朝倉書店. 140 (2002)
• [文献書誌] 鄭躍軍, 村上征勝, 吉野諒三: "仮想評価法(CVM)のバイアス問題に関する調査-東京湾中央防波堤内側埋立地の環境評価を例として-"統計数理研究所リポート88. 104 (2002)
• [文献書誌] 村上征勝: "単純集計,属性別分析,相関表分析,コウホート分析"社会調査ハンドブック林知己夫編. 757 (2002)
• [文献書誌] 村上征勝: "文化の調査について"社会調査ハンドブック林知己夫編. 757
• [文献書誌] Sasaki Masamichi: "Comparative Research. Encyclopedia of Social Research Methods"Thousand Oaks, California : Sage Publications. 630 (2002)
• [文献書誌] 佐々木正道編: "大学生とボランティアに関する実証的研究(科学研究費学術図書刊行補助出版)"ミネルヴァ書房. 500 (2002)
• [文献書誌] Sasaki Masamichi, Suzuki, T.: "Social Attitudes in Japan : Trends and Cross-National Perspectives.(2nd editions)"Leiden, The Netherlands : Brill. 298 (2002)