研究分担者 |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
浜野 洋三 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011709)
松本 淳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80165894)
山形 俊男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50091400)
升本 順夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60222436)
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研究概要 |
最近,太平洋におけるENSOと同様な大気-海洋相互作用が,インド洋にも独立に存在することが明らかにされ,ダイポール変動と名付けられた.本研究の目的は,観測記録をこえる長期間のダイポール変動の復元を行い,ENSOやモンスーン変動とどのように関係するのかを明らかにすることである.ダイポール時に高水温・高降水量のアノマリーが現れる西インド洋のケニヤとセイシェルにおいてサンゴ年輪を採取して,その酸素同位体比と蛍光強度を測定した.さらに,東アフリカの降水量異常がナイル川の洪水をもたらすことから,ナイル川の洪水史を堆積物中に記録していると考えられるエジプトのカルーン湖において,湖底堆積物コアを採取した. サンゴ年輪の酸素同位体比と蛍光強度が,降水量・河川流量変動とよく一致することが示された.年輪によって時間軸を決定することによって,酸素同位体比と蛍光強度の変動に,西インド洋・東アフリカにおける5月と11月の降水のピークが明瞭に示されていることが明らかになった.このうち11月の降水ピークの経年変化が,ダイポール変動と一致することから,年輪記録の解析に基づいて過去100年間のダイポール変動を復元した. 湖底コアの採取のために,既存のピストンコアラーを最長6mのコアを採取できるように改良した.その結果,それまで採取コアの最長が2m程度だったのに対して,6.2mという長いコアを採取することに成功した.採取したコアの古地磁気測定によって,コア全体では過去4500年間の連続的な記録を保持していることが明らかになった.また,カルーン湖周辺には湖岸段丘が発達することから,2000年前以前は湖水位が現在より60mほど高く,現在よりナイル川の流量が大きかったことが推定されたからである.
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