研究分担者 |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
奈良岡 浩 岡山大学, 理学部, 教授 (20198386)
林 謙一郎 筑波大学, 地球科学系, 教授 (40124614)
加藤 泰浩 東京大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40221882)
根建 洋子 鹿児島純心女子大学, 看護栄養学部, 助教授 (80290659)
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研究概要 |
本研究の目的は,太古代の生物種の時空分布を知り、生命を取り巻く地球化学的環境を調べ、これらの共進化を規制した地球物理学的要因を明かにすることである。本年度はオーストラリア、ピルバラ地域において昨年度目的を達することができなかったTumbiana Formation(2.76Ga)中のストロマイト堆積層を再度掘削した。アメリカNASA生物学研究所、オーストラリアの研究者に加えて、本年度はアメリカの研究グループ、Deep Time Drilling Projectが加わって続行した。 現在まで室内実験で基礎的顕微鏡観察、生物化石の電子顕微鏡観察、有機炭素のC, H, N, Sの含有量およびSとCの同位体組成から生物種の特定,岩石の主要・微量化学組成から地球化学的環境の推定、岩石磁気の測定と古地磁気の推定を行った。その結果は、平成16年3月〜4月に行われたにNASAで行われる宇宙生物科学国際会議を皮切りに、ヨーロッパ地球物理学連合、国際地質学会、ゴールドシュミット国際会議、アメリカ地球物理学連合であわせて21件の国際発表で成果を報告した。国内学会で18件の発表を行った。さらに一般向けの講演会を行ったほか、その成果を伝えてほしいとの要請を受けて、筑波大学の集中講義も行った。成果のほとんどはまだ口頭発表の段階にある。 主な成果は、生物の多様化の歴史を明らかにしたことである。34.6億年前には鉄バクテリアやメタン生成細菌が活動していたが、27.7億年前には急激に多様化し、メタン生成細菌、メタン酸化細菌、硫酸還元バクテリア、シアノバクテリア、さらに真核生物の可能性も示唆した。 さらに、34.6億年前の地球の磁場の存在を明らかにした。これは地球最古のダイナモ磁場である。地球の磁場がさらに強力になってきた28億年前に、生物の多様化が急激に進んだと考えられる。
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