研究課題/領域番号 |
14255003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
甲山 隆司 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60178233)
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研究分担者 |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30221930)
北山 兼弘 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (20324684)
寺島 一郎 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40211388)
高橋 耕一 信州大学, 理学部, 助手 (80324226)
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キーワード | 熱帯山地林 / 生活形 / 葉 / 寿命 / 形態 / 生理生態 / シュート / 生物多様性 |
研究概要 |
三回のインドネシア現地調査と、国内での研究打ち合わせ、インドネシア熱帯林で展開するための国内での研究成果の整理を行った。 現地では、おもにハリムン山国立公園の熱帯山地林を対象地域とした調査地設定を行った。100種ほどのさまざまな生活形の植物種各4個体を選定し(林床および林縁開所)、1シュートについて既存の葉をすべてマーキングし、毎月、新展開葉と脱落葉を追跡する観測システムを設定しつつある。また、林床近くで樹幹に着生するオオタニワタリの一種については、葉のターンオーバを追跡に加えて、株に落下するリターの除去実験もおこない、トラップ状に着生する植物の栄養塩供給に果たすリターの役割を、植物生長の点からあきらかにすべく観察している。さらにオオタニワタリの株腐食系に成育する昆虫群集を、土壌群集と比較する予備的な観察を開始した。 植物葉の生理・形態カップリングについては、以下の整理をおこない、現地予備調査とつなげた。常緑広葉樹の葉において、貯蔵物質は葉肉組織の分裂と伸長、葉緑体の発達に貢献し、成長している葉自身の光合成産物は主に細胞壁の肥厚に貢献していることが示唆された。常緑樹葉の展開時の水分生理学的性質の変化を既存葉と比較したところ、常緑樹葉が展開時に、すでに成熟した葉は蒸散を盛んに行うために水ポテンシャルを下げる能力はもっているが、気孔を閉じ、枝が水分欠乏に陥らないようにしていた。落葉樹を用いて、葉量と枝断面積との比例関係で表現される樹形のパイプモデルのダイナミクスを明らかにするための操作実験を行った。枝の肥大成長には、葉による生産量(供給)と長枝率や葉量増加に依存した枝のgrowth activity(需要)のバランスが重要であることが明らかになった。これらの葉や枝レベルの研究をインドネシア産の樹種を用いて展開する際のポイントを検討した。
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