研究課題
本研究は、(1)アジア熱帯モンスーン地域の自然生態系、半自然生態系、耕作地や造林地の菌類を調査し、(2)その標本の保存と分類・同定を行い、これらの地域の菌類相の詳細を明らかにして、(3)自然生態系における多様性とその生態的機能を解明するとともに、(4)この地域の気候特性のもとで人間活動に菌類がどのように関係しているかを検討し、その結果から自然生態系、半自然生態系の保全・維持管理の方法についての提言を行うことを目的とした。そのため、マレーシアペナン島およびマレー半島北部の熱帯雨林、タイ北部のチェンマイ周辺地域、さらに台湾中部地域に、マレーシア理科大学、チェンマイ大学、タイ王室植物園、中興大学などの全面的な協力の下に、調査地を設定し、調査を行ってきた。本年度の研究成果は、以下のとおりである。(1)日本から約10名の研究者が参加し、植物寄生菌、樹木寄生菌、土壌菌、水生菌、落葉分解菌、菌根菌、硬質菌、うどんこ菌などについて、現地の研究者と共同で、菌類の採集および調査を行い、多数の試料や標本を収集した。(2)収集した試料を用いて、菌類の分離培養を行った。(3)収集した試料や標本は、現地研究機関と日本の研究機関の双方に保存した。(4)標本や分離菌株をもとに菌類の形態を明らかにし、同定を行い、分布や多様性を明らかにした。(5)菌類の分布や多様性と現地の植生などの環境条件との関係を検討し、菌類の生態的機能を明らかにした。(6)これまでの調査結果について、7月に開催された日米合同菌学会大会などで発表するとともに、関係学会誌等に論文を掲載した。(7)11月に、現地研究者のために、菌類の分類に関するワークショップをマレーシアで開催した。(8)比較研究のため、中国に保管されているアジア産菌類の標本について調査を行った。
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