1.西部太平洋熱帯沿岸域に特徴的なサンゴ礁生態系の構造に関する基本データを得るために、スラウェジ北部の沿岸生態系の調査を、インドネシア・マナドポリテクニク大ダウド氏とサムラトランギ大学のパルンツ・ティオホ両氏の協力を得て、2003年9月から10月にかけておこなった。 2.前年度と同じくスラウェジ北部のサンゴ礁域に調査地を設け、スキューバダイビングによる定量観察を実施した。トランゼクト法とコドラート法を併用して、リーフエッジから礁原にかけてのサンゴ群集の変異性を表すデータを得るとともに、同じ地点で現れる魚類群集に関するデータを得た。本年度は、場所の違いによる生態系構造の変異性をみるために、調査区域を広げ、ブナケン南部よりも潮流の影響の強いシラデン島東岸での調査に加え、北部のナイン島およびモンテハゲ島での観察をおこなった。 3.サンゴ礁生態系では、本年度新たに、海草藻場と甲殻類に関する調査を加えた。後者では、分類作業が困難であるが、シンガポール大の協力を得てサンプルの処理を進めている。 4.沿岸魚種の利用に関するデータを得るための水産市場調査を、現地調査員のアシスタントにより継続した。インドネシアでのカメラおよびコンピューター機器の不調等、度重なる不都合によりデータの処理転送が遅れていることが問題である。 5.太平洋東岸熱帯域の沿岸調査として、ペルーにおける調査を2004年1月に行った。昨年度、沿岸域潮間帯下部の表面水温の変異性を把握するために設置した沈水型水温ロガーが故障しており、データを回収できない状態であったことが判明したので、代替のロガーを設置した。沿岸生物群集に関する生態観察とデータの収集をおこなった。 6.以前の生態観察データ、特にアナログ映像データのデジタル化を進めた。
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