研究課題/領域番号 |
14255015
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
|
研究分担者 |
三田村 緒佐武 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50030458)
佐藤 泰哲 山形大学, 理学部, 教授 (60007177)
渡辺 泰徳 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20112477)
田中 祐志 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (90207150)
三村 徹郎 奈良女子大学, 理学部, 教授 (20174120)
|
キーワード | バイカル湖 / 物質循環 / リン酸代謝 / 生物群集密度 / セジメントトラップ / 沈降粒子 / 付着藻類 / 栄養塩 |
研究概要 |
季節を変えて3回ロシアに渡航し(2002年6月25日〜7月5日、8月20日〜9月6日、2003年3月7日〜3月24日)バイカル湖での調査を行った。リストビアンカ周辺、バルグジン湾、南湖盆中央域、セレンガデルタ沖で各種の生物・化学観測を実施した。その結果として、次のような成果を得た。 バルグジン湾での動・植物プランクトン、バクテリアの水平・垂直分布を調査した。沿岸域では表面から水深10mの層に、沖域では水深10-15mの層に従属栄養生物が高密度で存在していた。これらの生物群集が物質循環にいかなる寄与を果たしているかは現在解析中である。 リストビアンカ周辺で採取した沿岸藻類を用いてリン酸代謝実験を行った。車軸藻は低温下においてもリン酸を高濃度で体内に蓄積することが明らかになった。 リストビアンカ周辺での付着藻類の分布と活性を調査した。陸域から湖への物質負荷とその消費を議論するうえで、付着藻類は非常に重要な役割を果たしていることが明らかになった。 バルグジン湾の水深150mの地点で深度50mの位置にセジメントトラップを係留して、沈降粒子捕集実験を行った。その結果、全沈降粒子束として270mg/m^2/dayという値を得た。これは琵琶湖でのものと同様の値である。バイカル湖は琵琶湖に比べてはるかに巨大な湖であるが、バルグジン湾での物質循環に対する沈降粒子の寄与は琵琶湖と同程度であることが示唆された。全粒子束のうち灼熱減量として与えられる有機物画分の値は、116mg/m^2/dayであって全体の約40%を占めた。この値も琵琶湖と同様であった。沈降粒子束の値が測定されたのは、バイカル湖ではこれがほとんど初めてと言ってよいほどである。この値が季節と場所によってどのように変化するかは、きわめて興味の持たれる点である。
|