研究課題/領域番号 |
14256001
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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研究分担者 |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
佐藤 直樹 北海道大学, 医学部, 助教授 (70205946)
岡本 宗裕 鳥取大学, 農学部, 助教授 (70177096)
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (70109388)
山崎 浩 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (00138207)
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キーワード | alveolar echinococcosis / cystic echinococcosis / neurocysticercosis / molecular epidemiology / sero-epidemiology / mitochondrial DNA / microsatellite DNA / molecular evolution |
研究概要 |
本年度の調査地域は昨年同様、インドネシア、中国が中心で、キルギスタン、モンゴル、ベトナム、タイも含まれた。 1.エキノコックス症ならびに嚢虫症に関する血清診断法、遺伝子診断法の研究では分子レベルでの検査法を確立することができた。 2.これらの検査法を導入して中国の流行地における疫学調査、ならびに日本国内で確認された多包虫症患者血清についての再検討を進めることができた。 3.中国四川省から青海省にかけたチベット高地に分布するチベットギツネとナキウサギから世界で最も原始的なエキノコックス属条虫、Echinococcus shiquicus(新種)を発見し、新種記載をした。すなわち同一地域に3種のエキノコックス条虫(単包条虫、多包条虫、新種)が分布することが判明した。今後、新種による人体寄生の有無の確認、病態、画像、血清診断法の再検討が必要になった。 4.国内では北方4島のひとつ、国後島における多包条虫の分布を確認できた。 5.多包条虫のミトコンドリア遺伝子解析の結果、多包条虫は北アメリカ中央地域に分布する株が最も古く、アラスカ、ベーリング海峡を通ってアジア、さらにヨーロッパに拡散し、3系統(北アメリカ型、アジア型、ヨーロッパ型)に大別されることが確実になった。今後、アラスカから中央アジアにかけて追加サンプリングが必要である。 6.テニア症、嚢虫症に関しては中国内モンゴルにおける血清疫学調査、インドネシア(イリアン・ジャヤ、北スマトラ、バリ)における疫学調査から各国、各地域における文化・風習により種の多様性が認められることが判明してきた。特にこれまで無鉤条虫と有鉤条虫の2種しか知られていなかったアジア・太平洋地域において第3の種アジア条虫(Taenia asiatica)が広範囲にわたって分布することが遺伝子解析の結果判明してきた。 7.今後はこれらの3種のエキノコックス条虫と3種のテニア条虫のアジア・太平洋地域におけるさらに詳しい分布調査が必要である。
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