研究課題
本年度はベトナム北部とインドネシアのロンボク島でのフィールド調査に集中した。(1)懸案であったベトナム山間僻地(ビンフック省、ビントアン省)の媒介蚊相調査を開始出来た。これにより中澤によるマラリアキャリヤーの情報と、媒介蚊の動態情報の両方が集積される見通しが立った。どちらの分布にも集中傾向がみられるものの重なりはあまり認められない。まだ情報量は十分でないので今のところ分析には能わないが、環境要因に係るデータが豊富になればいずれ伝播の実態が把握出来るかもしれない。現地調査によれば主要ベクターはAn. dirusで、近隣のタイやラオスでは主たるベクターであるAn. minimusは存在しないか極低密度であった。この理由の生態学的解明も興味深い課題である。(2)日本脳炎媒介蚊についてはCx. tritaeniorhyncusとCx. gelidusの吸血行動規定要因としての吸血源の存在、発生源からの距離の評価に成功した。吸血嗜好性、ヒトが吸血されるリスク、及びzooprophylaxisについて考察するための有力なデータが得られたと考える。また、1年を通じた蚊からのウイルス分離データが整理され、ベトナム北部におけるJEVの動態と、媒介蚊が保有するウイルスの多様性の一部が明らかになった。分離されたウイルスには未知のものも含まれていた。(3)新しく開発された常温揮発性のピレスロイド(メトフルスリン)を練り込んだ樹脂製ネットに対する媒介蚊の反応をフィールドと実験室で評価した。AnophelesとCulexでは約3ヶ月に亘り、Aedesでは少なくとも1ヶ月の吸血回避行動が観察された(インドネシア、ロンボク島とベトナム国ドソン市におけるフィールド実験)。
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