研究課題/領域番号 |
14310005
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森 匡史 神戸大学, 文学部, 教授 (30027982)
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研究分担者 |
松田 毅 神戸大学, 文学部, 教授 (70222304)
嘉指 信雄 神戸大学, 文学部, 教授 (20264921)
山本 道雄 神戸大学, 文学部, 教授 (80030518)
鈴木 泉 神戸大学, 文学部, 助教授 (50235933)
喜多 伸一 神戸大学, 文学部, 助教授 (10224940)
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キーワード | 超越論 / 自然主義 / カント / モナドロジー / カルナップ / クワイン / ドウルーズ / 西田哲学 |
研究概要 |
本年度は、認識における超越論的立場と自然主義的立場の対立に関して、(i)哲学史を横断する概念史的研究、(ii)現代哲学における問題論的研究のうち、(i)を絶えず背景にしつつ、(ii)に焦点を当てた。各研究分担者毎に基礎的作業を行った上で、相互の知見を交換するなどして、次のような知見を得た。 (1)森と山本はカルナップとクワインの比較研究を続行した結果、歴史主義化されたカント主義者クーンの『科学革命の構造』へのカルナップの共感、ヒューム的自然主義者クワインとの論争は、カルナップとクワインの距離の遠さを示すという、前年度とは異なる結論に至った。90年代からのカルナップ・ルネッサンスの検討は来年度の課題である。(2)松田はモナドロジーの現代性を探り、微小表象は物理主義的にではないが「自然主義的」に理解可能であるという知見を得た。(3)鈴木は、スピノザの初期思想を辿り、とりわけ『形而上学的思想』が、第二スコラの超越概念を初めとする抽象概念を批判しつつ、デカルトの存在論的構制を引き継ぐものであり、これに独自の改変を加えることによって、『エチカ』における共通概念を初めとする認識論に結実することを解明した。他方、現代哲学の分野において、ドゥルーズ哲学の核心に位置する超越論的経験論の意味を、カントにおける超越論性の概念との対比において解明し、経験の単なる可能性の条件ではなく、その実質的な発生の条件となる超越論性の重要性を明らかにした。(4)嘉指は西田哲学の身体論が「知覚と行為のカップリング」をいうアフォーダンス論を先取りしていることを明らかにし、(5)喜多は視運動性眼振を指標とした視覚誘導性自己運動感覚の他覚的評価の研究によって、知覚と行為のこの結びつきを認知科学的に明らかにした。
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