研究課題/領域番号 |
14310011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永ノ尾 信悟 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (40140959)
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研究分担者 |
斉藤 明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80170489)
高島 淳 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40202147)
島 岩 金沢大学, 文学部, 教授 (40115580)
森 雅秀 金沢大学, 文学部, 助教授 (90230078)
引田 弘道 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00192287)
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キーワード | ヒンドゥー教 / 仏教 / タントラ / 密教 / 変容 / 思想交流 |
研究概要 |
1.昨年に引き続きAmoghapasakalparajaの講読を継続して行った。長大な初期密教儀礼文献であるが、観音菩薩の特殊なマントラを中心としたさまざまな儀礼が記述されている。この確認は初期密教儀礼、初期ヒンドゥー・タントラ儀礼の形成を分析する新たな視点を与えることが議論されるようになった。比較のために参考にしたManjusrimulakalpaのHemasadhanaは文殊菩薩を中心とした儀礼集である。ギルギット写本が伝える初期の密教儀礼文献のいくつかは観音菩薩のある別名の菩薩を中心としている。ヒンドゥー・タントラ文献においても、たとえばVinasikhatantraやSiddhayogesvarimataなどはそれぞれTumburuとSiddhayogesvariという神を中心としたさまざまな儀礼を伝えている。ヒンドゥー・タントラであれ密教文献であれ、初期にはある神または尊格を中心とした儀礼集団が各地に形成され、独自の文献を作っていったという経過が推測される。規模は小さいがAtharvaveda Parisistaが伝えるAsurikalpaやUcchusmakalpa、またRgvidhanaのGayatrikalpaなどは最後期ヴェーダ文献に見られる例と考えられる。 2.これら初期タントラ、密教の儀礼の分析から、あと一つ新たな視点が明確になった。ヴェーダ祭式の目的を分析する際には「願望」の実現という視点で行うことができたが、初期タントラ、密教儀礼の分析は「願望」の実現よりむしろ「超能力」の獲得をめざしているといえる。したがって、さまざまな儀礼文献の目指す「願望」および「超能力」の一覧表を作成し、どのように分布しているかの分析を行った。
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