研究課題
1)今年度は東・東南アジアにおけるナショナリズムの台頭に関連した宗教の影響、宗教と政治の関係についての新しい動向を調査するため、ます8月16日から6日間、韓国を訪問した。まずソウル市の東国大学延基栄教授らと面談し、韓国の宗教法・宗教関連裁判に関する最新情報を収集するとともに、ソウル国立大学の宗教学研究室を訪れて主任教授で韓国宗教学会会長の金鍾端氏、研究員の上別府氏らと懇談し、ソウル大学および韓国における宗教研究の歴史と現状および宗教的ナショナリズムに関する現象に関する情報資料の交換と分析を行った。韓国には約65000の宗教団体が存在すること、仏教徒1320万人、プロテスタント876万人、カトリック300万人、儒教徒20万人などの分布が分かった。その後、雪嶽国立公園内のBaek-Dam Temple研修施設にて韓国仏教教授会の研修大会に参加し、韓国における仏教などの宗教運動の展開と国家や政治との関連について発表と議論を重ねた。また帰国前日には釜山市に移動し、東西大学を訪問して李元範教授らと会議をおこない、韓国における日本研究の発展について全容を学び、さらに日本宗教の展開に関する見解と情報の交換を行った。2)11月には、同志社大学で開催されたCOE「一神教聖職者交流会議」(11/13-14)に参加し、今後の研究交流をふくめて論議してきた。この会議はユダヤ教、キリスト教、イスラームの各一神教の実践者および研究者の共同プロジェクトであり、実践者から見た9.11テロほかの評価やナショナリズムと宗教の関係を再検討する上で、有益な研究プロジェクトである。また大阪千里の国立民族学博物館において、昨年来の研究状況の進展の確認と資料の分析を行った。3)昨年度、学内研究会を組織化し、新しい研究体制の構築に着手したが、新たに学外者を含めた「グローカル化する世界と宗教」研究会を立ち上げ、6月の「宗教と社会」学会において公式の学会プロジェクトとして認定してもらった。その後、準備と調査を重ねて、2005年3月4日に学士会館分館において、第一回研究会を「現代ロシアにおける政治と宗教をめぐる諸問題」をテーマに開催した。内容は、挨拶「プロジェクト・研究会開催にあたって」中野毅(創価大学教授)、研究報告『現代ロシアの宗教と政治-オウムと「ロシア正教ファンダメンタリズム」をめぐるロシア・ナショナリズム』宮川真一氏(創価大学通信教育部)、コメンテイター・井上まどか氏(東京大学大学院・宗教情報リサーチセンター研究員)、質疑等である。第二回の本研究会は、日本宗教学会の主催で行われた国際宗教学宗教史学会(IAHR)(3/24-30)のパネル発表と連動させ、28日にベルギー、シンガポール、イギリス、アメリカの研究者とともに「グローバル化する世界と宗教対立」とのテーマで論議を重ねた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)
ソシオロジカ 29巻1,2号
ページ: 141-161
聖学院大学Newsletter
現代宗教2005(東京堂出版) (単行本)(未定)
宗教学入門(棚次, 山中編)(ミネルヴァ書房刊) (単行本)
ページ: 196-200
世界の民衆宗教(荒木美智雄編著)(ミネルヴァ書房刊) (単行本)
ページ: 395-408