研究課題/領域番号 |
14310019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
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研究分担者 |
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50292842)
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
一條 麻美子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30213987)
田中 純 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10251331)
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キーワード | インタラクティヴィティ / 芸術作品 / 鑑賞者 / 総合芸術作品 / メディア / ゲーム / 情報ネットワーク / メディア・アート |
研究概要 |
本年度は、引き続き資料・情報の蒐集を行うとともに、初年度の成果を踏まえながら、芸術作品におけるインタラクティヴィティがもつ社会的効果を多層的に分析の対象とした。日本における芸術表現も取り上げ、電子メディアとテクノロジーの飛躍的な発達を背景とした現代における芸術のインタラクティヴィティについても重点的に考察した。具体的には次の通り。 1.中世から近世にかけ、文学・音楽・美術が社会的共同体の日常的実践のなかでどのように受容され、「もの」と「ひと」との関係のどんなモデルを作り上げていたか、そのモデルがどんな効果となって社会生活のなかに組み込まれていったか、という点を、宗教による社会統合との協同ないし葛藤のプロセスを明らかにしつつ考察した(一條・川中子)。 2.ヴァーグナーの楽劇に代表されるような総合芸術作品が鑑賞者に対して及ぼそうとした効果を、音楽、歌手の身体表現、舞台空間などの複数の視点から解明し、国民国家の政治体制・政治イデオロギー下における芸術の機能について分析した(石光・杉橋・長木)。 3.日本における集団的な競技としての文芸の伝統(連歌、俳句)や、茶の湯のような、他者と交際する空間の一種の舞台化といった現象を、インタラクティヴィティの観点から西洋の芸術・芸能との比較において考察した(杉橋・田中)。 4.マルセル・デュシャンやジョン・ケージをはじめとする芸術家たちによる営為が、いかに「芸術」概念の再検討をうながし、鑑賞者の位置にどのような変容をもたらしたかを、その後の現在にいたるインタラクティヴ・アートの動向との関係を視野に収めながら分析した。さらに、電子メディアや情報ネットワークの利用によって芸術が獲得したインタラクティヴィティが、どのような社会的力の表現であり、産業技術や社会経済的諸条件と結びついているのかを、ビデオゲームなどの娯楽ツールをめぐる分析と重ね合わせながら考察した(長木・田中・岩佐・石光)。
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