研究課題/領域番号 |
14310023
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森谷 宇一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70033181)
|
研究分担者 |
北野 雅弘 群馬県立女子大学, 文学部, 助教授 (80195271)
加藤 浩 大阪大学, 文学研究科, 助教授 (00204488)
渡辺 浩司 大阪大学, 文学研究科, 助手 (50263182)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
キーワード | 自然 / 自然美 / 自然感情 / 風景 / 景観 / ヒューマニズム / 芸術 / 芸術美 |
研究概要 |
本研究は、自然感情と、その最も明確な対象領域である風景とを、美学的ならびに文芸学的に解明しようとするものである。そのさい研究の最大の動機(モティーフ)となったのは、研究対象としての自然感情および風景というものが美学においても文芸学においても、従来あまり主題的にはとりあつかわれないまま充分に研究されてこなかったということである。なによりも、あまりにも気づかれていないがゆえに断固として強調されねばならないのは、美的なものや詩的なものとは本来、人間的なものという以上にむしろ自然的なものに属しているということである。 本研究が当初その解明をめざしていた問題は多岐にわたるが、特に重点をおいていたのは、1.自然感情の概念と本質、2.風景の本質と意義、3.風景の発見、といった問題である。そのうちでも最重点は2におかれており、客観的ないし場所(トポス)的なものとして外面的でありながら、多分に主観的ないし感情的なものとして内面的でもありうるという、風景という事象の両面性が明らかにされるとともに、風景という伝統的な概念と景観という新しい概念との違いということもいっそう際立ってきたかと思われる。その意味では、風景について今日それなりにおこなわれている、地理学的ないし建築学的といった支配的な諸研究と異なる、本研究の意義が多少とも示されたといえよう。 研究の実際において特筆すべきは、通算してかなり長期にわたる海外調査(研修)によって、日本とは自然的のみならず文化的にもまったく異なる西洋の風景について、直接の体験にもとづき知見を深めることができたことである。それにひきかえ、研究メンバーが少数でかつほとんど同一の研究機関に属しているため、常時の活発な討論によってたがいに研究上の刺激はもたらされたものの、特に研究会というほどのものをもつ機会がやや少なかったことは、やはり遺憾なことであった。
|