研究課題
(1)理論的アプローチにおける成果昨年度、浮世絵という媒体が形成する、「演奏する主体」をめぐる集団的な記憶の形成を扱った研究会&展覧会を受けて、今年度は、「演技する身体」をテーマとした公開研究会「浮世絵のなかの団十郎」(講師・新藤茂氏、12月14日、於・本学映像ホール)および併催展覧会「時代の華・市川団十郎の浮世絵」(12月11日-24日、於・本学ディーズ・ギャラリー)を実施し、大きな成果をえた。また、研究成果の公開のため、この展覧会の簡易図録も同時に作成した。二年間にわたって継続した<浮世絵>研究を通じて、歌舞伎という総合芸術の記憶の形成と伝承過程において、絵師という個人の役割の重要性があらためて浮き彫りになった。おそらく同様のことは、舞台写真や映像記録の場合にもあてはまるだろう。舞台写真については、太田、八角、森山が編集に関与している『舞台芸術』(本学舞台芸術研究センター発行)誌上での諸研究とリンクしながら、明治から現代までの、さまざまな舞台写真のメッセージ性をめぐる比較検討作業を行った。「劇評」「批評」をめぐる諸問題については、非公開の研究会を数回重ね、歴史研究としての枠組みの構築以前に、現代におけるそれらのあり方を研究対象としていくこととした。その際に考慮すべき理論的枠組みについての議論を、太田、八角、森山が上記『舞台芸術』他に発表した。(2)実践的アプローチにおける成果2002-2003年度に京都芸術劇場で開催した≪上演実験≫の記録映像の編集作業がほぼ終わり、そのなかから『戦争』(02年12月)、『門』(03年3月)の2作品の記録映像を題材とした公開研究会を開催した(7月21日、於・本学映像ホール)。また、04年度の≪上演実験≫のうち、古典から『舞楽法会』(04年5月)、現代ものから『リズモロジー』(04年10月)という、いずれも音楽と舞踊の共同作業が関わる演目を取り上げ、この2作品の編集作業を並行的に行うことによる比較研究に着手した。
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diatext 15号(近刊)
舞台芸術 6号
ページ: 1-4
舞台芸術 7号
ページ: 1-8
Halfa Century of Japanese Theatre 1960s Part1
ページ: 216-219
diatext 12号
ページ: 102-105
ページ: 240-246