研究課題
基盤研究(B)
平成14年度は、彫刻作品の調査と、関連する絵画作品の調査を実施し、また携帯型蛍光X線測定装置を導入した。彫刻作品については、まず研究分担者丸山が以前から継続している大将軍八神社(京都)所蔵の神像彫刻群調査の補足を行い、彩色に用いられた色料の蛍光X線分析調査をふくめ、その成果を丸山・和田・早川・津田が東京国立博物館研究誌『MUSEUM』582号に公刊した。これに関連する平安時代の神像彫刻についても調査を行った。また、造像銘記等により製作時期が判明する、あるいはそれらに準ずる史料類から製作時期を特定しうる、平安時代後期ないし鎌倉時代の規準的作品の調査を、各地に調査旅行を行ってすすめるとともに、東京国立博物館に所蔵されている、あるいは出品された重要な彫刻作品ないし絵画作品についても随時調査対象に加えた。とくに、かねて彩色文様の美麗な名品として知られる重要文化財毘沙門天立像(川端家旧蔵、1162年頃の製作)が14年度に東京国立博物館に寄贈されたため、同像の彩色について詳細な調査を行い、多数の調書・写真等の資料を作成した。調書・写真類の整理は、以上の調査によってえられたもののほか、研究代表者、同分担者のもとに既存の資料もあわせて継続中である。携帯型蛍光X線測定装置は、納品が年度末近くまで遅延したため、調査への導入はなお試験的な段階にとどまっている。上記した作品等をはじめとする調査への本格的な適用は次年度以降の課題としたい。
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