研究概要 |
1.乳幼児の選好注視測定システムの確立:乳幼児の視線方向を非接触的に計測するための方法について、選好注視場面における幼児のビデオ画像を分析対象として検討した。各実験試行のビデオ画像を2D/3D運動解析ソフト(DITECT, Dipp-Motion XD)に取り込み、乳幼児の眼球の位置変化を相関追尾によって自動的に記録する方法と、同じ運動解析ソフトを用いて、1フレーム毎に目視によって幼児の視線方向を判断する方法を比較検討した。その結果、後者の方法がより正確で実際的な方法であることが確認された。 2.乳児の認知能力とその後の認知・社会性の発達の追跡調査:昨年度、保健所で募集した6-9ヶ月の乳児35名に同志社大学内に設置したムービングルーム,BINS発達検査,ひとみしり実験等を実施した。これらの乳児を追跡調査し、認知能力と2歳時の認知・社会性発達を比較検討し,乳児期における認知能力から幼児期における発達を予測するための分析を継続して実施した。 3.健常幼児及び障害幼児の認知・運動機能の比較:幼児および発達障害児を対象に、器用さの程度を簡便に評価しうる、ペグボードテスト(パーデューペグ)、タッピングテスト、模倣テスト、協調性テスト、シール貼り課題等のデータを収集した。昨年度は、健常幼児への適応性について主に確認したが、本年度は、発達障害児者についてもあわせて検討した。速さと正確性の2側面が大切であることは昨年度の検討からすでに明らかになっているが、本年度は、ペグボードテストが速さも正確住も相関があり、網羅的なアセスメントとなりうる可能性が示された。
|