研究概要 |
オープンフィールド活動性(以下OFA)について選択交配された高・低活動系マウス(以下H, L)とTsukuba高・低情動系ラット(以下THE, TLE)においていくつかの実験を行った. 暗条件下のOFBの系統比較 H, Lその基礎集団であるICR,5系統の近交系マウス(BALB, CBA, C3H, C57BL/6,DBA/2)のOFBを暗条件下(30lx)で比較した.LのOFBはHに近づき,両系の差が照明に対する感受性による可能性が示唆された.CBA,DBA,ICRでは明るさの影響がほとんどなかった. H, Lにおける暗条件OFBに対するdiazepamの効果 高照明下では惹起される不安が強すぎ,Lでは抗不安作用が検出されなかった可能生があった.そこで暗条件下でdiazepamの効果を調べたところ,Lでも抗不安作用が観察され,その至適用量は2mg/kg(i. p.)でHと同様にICRより10倍ほど高かった. H, LのOFBの長時間測定 測定時間を30分に延長し,明条件下でHとLを比較した.Lの雄では時間経過とともにHに近づく傾向を示したが.30分測定でも両系は異なるOFBを示した. H, Lの雌親行動 Lにおいてのみ仔数が養育中に滅少し,Hが授乳姿勢を,Lが接触休息,巣作り,毛づくろいをより多く示した.雌親行動と仔の生存率との関連が示唆された. H, LにおけるOFBに対するapomorphineeとmethamphetamineの作用 apomorphineは用量依存的に活動量を低下させ,methamphetamineは逆に増大させた.薬物と系統の交互作用はなく,ドーパミン系には系統差がない可能性が示峻された. THE, TLEの餌運搬行動 餌運搬行動は捕食危険に基づくと考えられているが,TLEの方が運搬率は高く,新奇恐怖と捕食危険は別の機構による可能性が示唆された.
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