研究課題/領域番号 |
14310043
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
和氣 典二 中京大学, 心理学部, 教授 (20125818)
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研究分担者 |
河本 健一郎 中京大学, 心理学部, 助手 (80367656)
守本 典子 岡山大学, 医学部・歯学部, 医員
宮尾 克 名古屋大学, 情報連携基盤センター, 教授 (70157593)
和氣 洋美 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (80122951)
宮岡 徹 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (00111815)
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キーワード | ロービジョン / チェンジブラインドネス / クロスモーダル / カテゴリカル色知覚 / 二重課題タスク / 高齢者 / 認知機能 / 環境設計 |
研究概要 |
この研究は本年度が最終年度であるため昨年度までの実績を踏まえて、本年度では主として高齢者や高齢ロービジョン者の資料を得た。視機能評価班では、高齢者並びに高齢ロービジョン者に刺激の提示視野を変えて視認性を求めた。その結果、提示視野が大きくなると、正答率が低下することが一貫して得られた。また、若年者も高齢者も、視力と視標の大きさとの間に似た実験式が成立することや若年者では観察できなかった視認性に及ぼす視標の色の効果が高齢者やロービジョン者では観察されるなどの違いを指摘した。カテゴリカル色知覚に関しても、高齢者は若年者と異なる結果を得ている。さらに、立体映像を見ている最中に水晶体調節をどのように測定するかの検討がなされた。その結果、動画像と静止画像を遠方から近方へ移動させて調節の変化を連続的に測定できることを確認した。視機能評価法班では、2重課題の条件下で選択的注意と有効視野の検討を加えた。その結果、高齢者は周辺課題の成績が若年者よりかなり低下することを明らかにした。特に、眼疾病を有すると、成績が著しく低下することを示した。通常、糖尿病網膜症では、提示視野が広がると成績も低下するが、糖尿病黄斑病変では、中心近くの成績が悪く、周辺の方が良い成績を示すものもいた。変化検出課題を若年者と高齢者に課すと、高齢者の成績は極端に低下するという結果を得た。さらに、ターゲットを画面上で動かすと、課題の困難さが増し反応時間が長くなり、holdも小さかった。全盲班では、触覚におけるチェンジ・ブラインドネスの高齢者の成績は若年者より極端に低下することを明らかにした。また、本年度では、前年度までの知見を参考にして、視-触クロスモダリティの研究を変化検出課題で行った。その結果、視覚の位置情報が触覚の成績を高めるという相互作用の存在を初めて示した。このとき触覚刺激の提示中の種々の時間で視覚刺激を提示しても、off-time(刺激が提示されていない時間)が3000msと長くなっても、触覚と視覚の相互作用が生じることを示した。2次元空間や3次元空間内の手の動きを計測するシステムを確立した。2次元の様々な図形を手の動きと眼球運動の面から検討し、両者が大変似ていることを明らかにした。特に、研究代表者は視覚と触覚とが似た情報処理をしているのではないかと考えた。従来から目が動いているとき、つまり、サッケードしているときには、視覚情報を取得していないが、目が停留しているときに処理をする。同じく、触覚でも手を動かしているときには、情報をあまり取得せずに、手の動きがとまったときに、情報を取得する。ところが、触覚では能動触は対象を知覚するが、皮膚感覚だけでは困難であるというのが一般的であった。だが、変化検出課題では、触覚の記憶容量は約1である。これは手が動いているからと解釈できる。事実、われわれの触覚探索やパターン認知の条件では、ある位置や角などには何回も手が停留することを示した。
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