研究課題/領域番号 |
14310051
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小玉 正博 筑波大学, 心理学系, 教授 (00114075)
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研究分担者 |
大森 美香 京都教育大学, 附属教育実践総合センター, 講師 (50312806)
杉江 征 筑波大学, 心理学系, 助教授 (70222049)
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キーワード | 抗ストレス資源 / 企業メンタルヘルス / 職務ストレス / ストレス対処 |
研究概要 |
本年度は、3つの研究が実施された。研究1では、職業人の活力を測る抗ストレス心性尺度の予備的検討として大学生サンプルとのデータ比較を行った。その結果、職業人720人において大学生サンプル263人よりも有意な抗ストレス傾向、活力傾向が示された。研究2では、前年度実施の調査結果のフィードバックを行った対象者560名のうち、面接調査を承諾した23名(男13名、女10名)に半構造化面接を行った。面接では各人の生活および勤務状況における抗ストレス資源を明らかにするために、生活史、仕事および人生への志向性、自己意識、ストレス・自我脅威事態への対処様式、キャリア形成過程について質問された。面接内容は逐語録され、データ・ベース化した上で内容分析が行われている。研究3では、全国の中小企業経営者341名を対象に、経営者の個人要因(時間的展望、仕事への没入、達成動機、主観的統制感、主体的自己成長感、本来感、環境認知、全体的職務満足感、経営属性)が事業成功感に与える影響を明らかにするために質問紙調査を行った。(1)結果:全体的職務満足感(=成功感)を目的変数、経営属性を説明変数とする重回帰分析の結果、創業者・小規模企業・売上高経常利益率成長傾向の3要因が事業成功感に影響を与えていた。(2)成功感を目的変数、それ以外の個人要因を説明変数とする重回帰分析の結果、仕事への没入・時間的展望(現在の充実感、希望、過去の受容)・本来感・自己充実的達成動機の4要因が事業成功感に影響を与えていた。(3)増加・停滞・減少の利益獲得傾向と事業成功感との関連では、増加群において仕事への没入と現状への充実感が成功感を規定し、(4)停滞群と減少群の成功感は「時間的展望(過去の受容・目標志向)」「内的統制感」「自己充実的達成動機」が影響していた。以上の結果から、肯定的時間展望・仕事への没入・達成動機等に基づく成功感が中小企業経営者の活力を規定することが示唆された。
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