研究概要 |
語彙検査に関しては,語彙関連のデータベースと,国語教科書をもとに幼児版2版,小学校低学年版3版,高学年版3版,中学生版2版の問題310問を作成した。各版とも各学年約100名,合計約2700名に調査を実施した。この結果をもとに,各問題について識別力と困難度のパラメータ推定を行い,得点の分布などから不適切な問題を除外し,計260問を抽出した。 漢字課題については,教育漢字・常用漢字からの各学年に配当されている漢字に基づき小学校低学年版3版,高学年版3版,中学生版2版の問題を作成した。各版とも各学年約100名に実施し,合計約2300名に調査を実施した。この結果をもとに,パラメータ推定を行い,得点の分布などから不適切な問題を除外し,計160問を抽出した。 次に,作成された問題を用い,パソコン上で動作する検査を開発した。検査プログラムはvisual Basicで開発し,Windows上で動作するものである。 文法課題に関しては「格助詞等」「授受動詞等」「助動詞」「情緒的意味,契約的意味文脈」「副詞」「直示」「接続詞・接続助詞」の7領域における課題文を整理し,課題の最終版を作成した。1年生から3年生まで各学年約100名に課題を施行した。この結果から,各領域内の課題文ごとの難易度を明らかにした。 語用課題に関しては,日本語の多義的な表現の解釈についての小学生の反応を検討した。採用した多義表現の種類は,「否定の範囲」「局所的付加」「動詞の項充足」「間接表現」「皮肉」「意図」「慣用句」「隠喩」「しゃれ」「なぞなぞ」「同音異義」「指示詞」の12種であった。これらについて50の下位項目を作成し,小学校2年生から6年生まで各学年約140名合計約700名に,解釈の文脈依存の程度の5段階評定をもとめた。その結果,「慣用表現・比喩理解」と「文脈情報の利用」の2因子が抽出された。
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