研究課題/領域番号 |
14310061
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
遠藤 利彦 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90242106)
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研究分担者 |
神尾 陽子 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (00252445)
橋彌 和秀 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (20324593)
板倉 昭二 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50211735)
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キーワード | 乳幼児期 / 初期コミュニケーション / 三項関係場面 / 社会的参照 / ビデオクリップ / mind-mindedness |
研究概要 |
本研究は、発達早期における視線および表情理解の発達と障害のプロセスとメカニズムについて、特に三項関係、(養育者-子ども-物体や事象)場面における社会的参照行動の検討を通して、解明を試みるものである。本年度は今後研究を行う上での、基本的方法の枠組みの案出を中心に活動を行った。特に本研究では、乳幼児が他者の視線や表情を理解する際の、子どもとともに在る身近な他者、すなわち養育者のあり方・ふるまい方を問題にしたいと考えている。すなわち、ある物体や事象に対して潜在的に注意を寄せる乳幼児の視線や表情から養育者が何を読みとり、どう意味づけ・働きかけるかによって、子ども自身の養育者の視線や表情に対する関心・態度・解釈等が何らかの形で影響を受けるのではないかと考えるのである。そして、究極的には、こうした養育者の子どもの心的状態の読みとりの個人差と子どもの三項関係場面での社会的参照を始めとする各種コミュニケーション行動の発達との関連性を実証的に明らかにしていく予定である。養育者の心的状態の読みとりに関しては既にMeins(1998)による"mind-mindedness"(乳幼児の心の状態を想定しそれに基づき働きかける傾向)という先駆的概念枠があるが、今年度はその個人差を体系的に測定する手続きの作成を目指し、8名の7〜9か月児の日常生活場面での各種行動を録画し、複数の乳児に頻繁に見られた行動を中心に最終的に30秒〜1分のビデオクリップを計15作成した。その上で、ビデオクリップの乳児とは全く無関係の母親6名に対して、各ビデオクリップから、いかなる乳児の主観的状態をどの程度強く読みとるかについての測定を、評定法ならびに自由記述を通して行った。感情や意図等の帰属には広範な個人差が認められ、さらにその個人差は日常場面での母親の実子に対するコミュニケーションと強く連関しており、この手続きが相対的に妥当であるとの結論に至った。
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