本研究の目的は、環境ボランティアの形成・発展においてネットワークがどのような影響を及ぼすかを検討することにあった。この目的のためには、ボランティア団体の発展過程に沿った縦断的な研究を行う必要がある。そこで本研究では、まずボランティア団体が形成・発展それぞれの段階で実際にどのようなネットワークが用いたか、その実態を明らかとするために、団体の設立者や代表者に対する面接調査を実施した。なお本研究では、環境ボランティアだけでなく、福祉ボランティアなど活動目的が異なるボランティア団体に対しても調査を実施した。対照団体との比較で、環境ボランティアに固有の特徴、また様々なボランティアに共通する一般的な傾向を明らかにできると考えたためである。最終的に環境ボランティア5団体、福祉ボランティア4団体、多目的な活動を行うボランティア1団体の計10団体、14名の調査対象者の回答を得ることができた。 面接調査の結果、団体は、個人的に親しく、興味や関心が一致する人同士によって新たに作られるケースが多かった。すなわち団体形成時には、個人間の強いネットワークが重要であることが明らかとなった。 次に、団体の発展時では、知人などのパーソナルネットワーク、行事の開催や広告によって新たに作られたネットワークが利用されることが明らかとなった。またボランティア団体のメンバーは単一の団体だけでなく、複数の団体に所属していた。このような成員の重複性が、ボランティア間のネットワークを生み出し、団体の発展に影響を及ぼしていた。
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