高齢ドライバーの運転パフォーマンスを行動指標(確認行動と速度行動)と指導員による運転評価指標を用いて測定し、他の年齢層ドライバーのものと比較した。さらに、ハザード知覚テストにより交通ハザードの能力を測定し、被験者群間で比較した。運転パフォーマンス上の指標とハザード知覚能力指標間の関連性を調べた。日本の4府県(各1カ所)の教習所の室内及び所内コースを用いて調査を実施した。調査対象者は中年層36名、準高齢者32名、前期高齢者88名、後期高齢者42名の計198名であった。確認行動の水準には加齢の影響が見られ、高齢者の左右確認回数は低くなった。通常の走行速度については、加齢による大きな影響はなかったが、見通しの悪い交差点や一時停止交差点での速度は高齢者の方が高かった。指導員評価でも同様の結果が見いだされた。ハザード知覚についても、加齢とともに得点は低下した。とりわけ、行動予測ハザードや潜在的ハザードヘの得点の低下が著しかった。運転パフォーマンスと指導員評価、ハザード知覚の指標間には中程度の相関が見られた。こうした知見に基づいて、高齢者の交差点での一時停止行動及び確認行動に対する教育プログラムを試作した。
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