一時停止・左右確認とハザード知覚の教育プログラム(試作版)の効果測定研究を実施して、教育効果の有無や内容について検討を行った。一時停止・左右確認のプログラムの効果測定は青森と愛知の教習所で行い、教育実施群40名と教育未実施群37名で比較した。走行はプログラム実施前と実施直後と約3週間後の3回実施した。本プログラムの特長は、1)教習所指導員が運転診断を行い、個人対応の参加型教育であること、2)自ら気づく、気づかせる手法であること、3)ビデオを活用したフィードバック、等であった。結果として、指導員による観察評価と運転技能評価は未実施群では変化しなかったが、実施群の得点が高くなり、教育効果が見られた。自己評価は実施群の得点は教育後に低下した。総確認回数は実施群で増加し、未実施群は変化しなかった。一時停止交差点(右左折)の不停止率は実施群、未実施群とも教育後に低下した。以上の結果から、「教育効果有り」と判断した。 ハザード知覚のプログラムの効果測定は、京都の教習所で行い、教育実施群20名と教育未実施群19名で比較した。プログラム実施前と実施後(約3週間後)で比較したところ、実施群と未実施群では、教育前の水準に差が見られ、教育未実施群の方が得点は高かったが、教育実施群は教育後に得点が上昇したので、教育効果が見られた。また、潜在的ハザードへの教育効果が大きく、行動予測ハザードには効果が見られなかった。 上記の結果に基づいて、新しい教育プログラムを作成・提案する。また、指導員向けの指導マニュアルを作成、中核教習所を指定し、教育の実施と指導員の訓練を行うことが大切である。
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