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2003 年度 実績報告書

生活研究生成期における生活概念の形成と変容過程

研究課題

研究課題/領域番号 14310092
研究機関福岡県立大学

研究代表者

田代 英美  福岡県立大学, 人間社会学部, 助教授 (80155069)

研究分担者 佐藤 繁美  福岡県立大学, 人間社会学部, 助手 (80254647)
植田 美佐恵  久留米大学, 文学部, 教授 (60142626)
キーワード初期生活研究 / 生活論 / 社会事業 / 経営思想
研究概要

1.初期(1910年代〜30年代)生活研究における生活概念の論理構成およびその変容にかかわる内的要因の分析を行った。(1)具体的に取り上げたのは権田保之助の生活論である。権田の"生活"は分析概念ではなく当為概念である。その基本要素は民衆(=近代的労働者)の自立性と総体性および体制からの自律である。(2)後半期には論理構成そのものが変化し、「国民」と教化・指導が構成要素となっている。同時に、労働関係が前提から欠落している。(3)生活思想としては労働者の自己教育と連帯が重視されているが概念構成要素にはなっておらず、家計分析や地域調査にも活かされていない。この点の不備が後半の概念変容を容易にしたと言える。2.この時期の社会福祉・社会事業における生活問題認識の特徴と問題点を明らかにした。(1)社会事業の対象=生活問題=貧困問題という認識は一貫しており、上記1.のような転換は見られない。ただ、生活研究全般の変化に応じて労働・労働関係に対する視点は一層薄れている。(2)前半期にはイギリス社会改良思想の導入が図られているが、前項(1)(2)の流れの中で労働・住宅・医療などを含めた総合的な地域分析・政策という考え方が定着せず、社会福祉・社会事業のその後の展開に重大な影響を及ぼしたと言える。3.大原孫三郎の経営思想と社会事業思想を検討した。(1)大原の企業経営と社会的事業に通底する理念は非キリスト教的・合理的科学主義であることを、各種資料の比較考察によって明らかにした。(2)労働者の生活全体の質の向上や利潤の社会的還元などの考え方はオーエンのそれと類似性が認められる。ただし、自立的コミュニティの形成については大原では明確ではない。また、大原の企業経営・企業の社会貢献のあり方は社会的に継承されていない。なお、オーエンとイギリス社会事業思想との関連については社会福祉セミナー(2004年3月、於福岡市)で口頭発表した。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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