研究課題/領域番号 |
14310097
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
喜多 祐荘 東海大学, 健康科学部, 教授 (70153088)
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研究分担者 |
谷口 幸一 東海大学, 健康科学部, 教授 (20141161)
水谷 俊夫 中部学院大学短期大学部, 教授 (20320971)
佐藤 公治 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60113669)
太田 貞司 神奈川県立保健福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90223833)
小林 理 東海大学, 健康科学部, 助手 (80338764)
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キーワード | 痴呆症・認知症 / 記憶障碍 / アルツハイマー病 / 記憶再生 / 人生回想 / 共同語り / 共感支持同行 / 記憶形成・馴染み |
研究概要 |
痴呆性高齢者(アルツハイマー病:認知症)の記憶再生による生活共生の援助技術を臨床的に開発した。 対象者の遺存機能に基盤をおく「人生回想」と「共同語リ」により、本人の「自己統合」と関係形成意欲が高まっただけではなく、本人の障碍・認識上の限界を理解・受容した対話者の支持・協働により本人の社会参加・自己実現が可能であることが実証された。 痴呆症の本態である「器質制逆向性進行性記憶障碍」(以下「記憶障碍」)をもつ人に関して: (1)感覚(とくに味覚、触覚、視覚、聴覚)機能と感情(快不快、空腹、性愛、愛着嫌悪、美醜、正邪、善悪、規範倫理、喜怒哀楽、淋しさ、不安、安心、感謝等)機能が健康に、または、加齢相応に働いている。また、本人が自己像・時代像・家族像・役割関係像について、自己の遺存記憶再生に基いて確信的に認識している。本人は、昔の体験記憶の再生内容に基いて、今ここにある自己と時代と相手との役割関係を特定して、相手と語らい、決定し、未来を切り拓こうとしている。(このことを理解する研修マニュアルを作成した) (2)記憶細胞の消失に伴い、本人は必死に記憶を再生して、自分が所属する時代と家族・集団を特定しようとしており、未知の環境要素に対しては自分の限られた現前の情報を基に、妥当な解釈を試みている。それを支えることによって、本人は最後まで現実的な解釈が可能になる。(このための会話マニュアルを作成した) (3)対話者が本人との間で「役割関係」を保ち、相互に「役割発揮」することにより「感動的体験」を共有できる。(このことを実践する共感支持同行マニュアルを作成した) (4)この「感動的体験」が強化され、繰り返されることにより「新たな長期記憶」(馴染み)が形成される。 (5)本人の「馴染みの環境・文物」「馴染みの関係・役割」「馴染みの感覚・感動」を整えることが記憶再生・生活共生の条件である。
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