研究概要 |
本研究は、今後増加が予想される男性独居高齢者の生活困難の特性とそれに対応する保健福祉サービスのあり方を明らかにすることを目的としている。本年度は、神奈川県相模原市に所在するH在宅介護支援センターを利用する男性独居高齢者のうち、10名について、同センターにおける利用経過記録を収集し、事例サマリーをフォーマットにしたがって記述した。その上で、パイロットスタディとして3名の利用者に対して1名約1時間の面接を行い、本人の承諾を得た上で録画し、リライトした。それを研究者と同施設の相談員等および訪問介護の経験を有する介護福祉士で構成する研究会で分析した。その結果、今回調査した事例からは、次の事項を指摘、確認することができた。 1,子育てを配偶者に任せきり、居住地以外で仕事をしていた男性は、(1)成人子との関係が親密でない場合は、老年期、成人子は老親の生活支援に積極的態度を示さない。また(2)地域社会との関係も薄く、ニーズ充足の生活基盤が形成されておらず、こうしたことが男性独居高齢者特有の生活困難と考えられた。 2,中年期の社会的対処の仕方が、老年期の社会関係にも引き継がれており、これが老年期の生活困難を引き起こす要因になっている場合もあったが、これは男性特有かどうかについての要検討事項である。 3,社会的対処の仕方を修正する必要がある場合はどのようなときか、またこれを保健福祉サービス過程にどのように組み人れていくのかが今後の検討課題である。
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