研究課題/領域番号 |
14310101
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松下 武志 日本大学, 文理学部, 教授 (20004062)
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研究分担者 |
杉本 厚夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (60116605)
仲川 秀樹 日本大学, 文理学部, 助教授 (60237229)
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キーワード | 断酒会 / 断酒例会 / 全日本断酒連盟 / アルコール依存症 / アルコール依存症者 / 断酒行動 / 社会貢献活動 / 自立訓練 |
研究概要 |
(1)戦後、アルコール依存症が社会問題化してくる背景要因を探るため、関係諸機関からアルコール生産量、消費量、製造・販売会社数、飲酒人口、アルコール依存症者数等の基礎的統計資料を収集する作業を行った。その結果、戦後におけるアルコール依存症者数の増大は、日本の戦後復興過程、経済社会の高度成長過程と密接な関係があると考えられた。つまり社会の富裕化とアルコール依存症者数の増大はプラスの相関を示していると考えられる。 (2)アルコール飲料の送り手(製造・販売会社)が、消費者向けに行ってきた広告宣伝活動に関する資料を収集した。それら資料の基礎的分析の結果、戦後から昭和40年代にかけて、送り手側は主にアルコールの生産販売に力点をおいた広告宣伝活動を展開してきた。それが昭和50年半ば頃からは、青少年の飲酒に注意を促す啓蒙的活動も行われるようになった。平成時代に入ると、アルコール飲料の送り手側は啓蒙活動からさらに一歩踏み込んで、アルコール依存症者たちの自立回復運動に対して、経済的支援をする等の社会的貢献活動を積極的に推し進めるようになってきている。 (3)アルコール依存症者の職業訓練のための施設を訪問し、彼らの自立のための活動実態を調査した。手先を使っての軽作業(箱つくり等)や野菜作りなどの農園作業においては、職業につながる技術の習得やその蓄積効果が認められる。しかしパソコン、ワープロ等の修得については、職業上の手段として使える水準までには達していないのが実情である。訓練施設で学ぶアルコール依存症者の職業的自立は依然として厳しい状況下にある。
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