研究課題/領域番号 |
14310101
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松下 武志 日本大学, 文理学部, 教授 (20004062)
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研究分担者 |
杉本 厚夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (60116605)
仲川 秀樹 日本大学, 文理学部, 教授 (60237229)
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キーワード | アルコール依存症 / アルコール依存症者 / 地域断酒会 / 匿名酒害者の会 / 自立 / 全日本断酒連盟 / 単身アルコール依存症者 / 女性酒害者 |
研究概要 |
平成15年度の研究調査からわれわれは以下のような新しい社会学的な知見を得ることができた。 (1)医療関係者はアルコール依存症者の「自立」意識や行動を酒を絶つ意識や行動を中心として捉え、「依存」意識や行動については酒を飲もうとする意識や飲む行動として捉える傾向が顕著であった。したがってかれらはアルコール依存症者の「自立」、「依存」を病院への入退院行動のメルクマールという視点から捉える傾向がみられた。 (2)行政関係者は「自立」意識や行動を断酒意識や行動をベースにしつつも、経済的「自立」、職業的「自立」に焦点をあてて「自立」を捉えていた。したがってその捉え方は医療関係者のそれよりも広義なものとなっていた。「依存」意識や行動は経済的、職業的に「自立」できていない状態として把握されていた。かれらはアルコール依存症者の「自立」、「依存」を社会復帰訓練施設への入出所および生活扶助受給、停止のメルクマールという視点から捉える特徴が散見された。 (3)アルコール依存症者自身は「自立」意識や行動を、家族や身近な人たちから普通の人間として認知、受容され、そのことをとおして自信を取り戻していく過程においてみられる自己回復意識や行動であると考えている。「依存」はそれが達成できていない状態と認識されていた。 (4)アルコール依存症者と支援活動者たちとの「自立」や「依存」をめぐる考え方、力点の置き方の違いやズレ、衝突がアルコール依存症者の回復行動の遅れや失敗に時としてつながっていた。
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